ダークなのにポップ、ハードなのにユルく、寝ぼけたようなタッチ。どこかゲームやRPGの世界を思わせるカラーリング。そして、最大の魅力は何と言っても、豊かなイマジネーションによって生み出される、脱力感たっぷりのキテレツなモンスターやキャラクターたち。ドローイング作品を核に、フリースタイルな活動を続ける”パジャコア”系アーティストnanook。Webマガジン「SHIFT」企画による「SHIFT 2010 カレンダー」に選ばれた新進気鋭のアーティストだ。彼の初個展「POP WAR NOW!」が、目黒の 金柑画廊にて開催されている。
Text:小島直子


過去の代表作や新作を織り交ぜたドローイング作品がひしめき合うように並ぶ。「POP WAR NOW!」というタイトル通り、強烈なキャラクターたちのぶつかり合いに巻き込まれていく。

紙製のファイルやメモ帳、カラーペーパーに描かれたものなど、使われている素材や大きさ、形、色はすべてバラバラだ。「その辺にあった適当なものに描いただけで特に意味はない」のだという。感覚のままに描かれる彼の作品を見ていると、すべて言葉で説明できてしまう絵などつまらないのかもしれないとも思う。
『MOGI GIRL』
「私が崇拝する人はZOZOPEOPLEにはいない。と豪語する彼女は茂木健一郎の大ファン。モギケンのことを考えすぎて脳ミソ破裂しちゃったし、右腕に『M』って彫っちゃった。」というクスッと笑ってしまうようなキャラクター設定を聞き、思わず気に入ってしまう。

『True Coffee Music』
「コーヒーに合う音楽やコーヒーを飲みながら聴く音楽は人それぞれ」。メタルだってコーヒーに合う音楽だ!と伝えたかったとか、ないとか…。ちなみに、会場のBGMにはブラックメタルや原田郁子、植松伸夫などの音楽が流れていた。
『vans & me』
テーマは「部屋とYシャツとVANSと私。」フレームの上に乗っているのは「アクアフレッシュ」で描いた”WAR”の文字が。
過去の作品を含む、手作りのドローイングブック。ページ左側は初期のイラストなのだが、丁寧に処理された線が今とは真逆な作風で興味深い。


アットホームなオープニングパーティーの模様。世にも”アホ”な古本をスライドで紹介していく「AHOAHO vs AZTECA BOOKS Talk Show」と、nanookによるライブペインティングが賑やかに行われた。
大勢の声援とヤジ(?)の中、無事に描き終えて満足げなnanook。
彼は自身の作風を「パジャコア(パジャ=パジャマ)」と表す。確かに、フニャフニャとしてドロドロとした線やパステルカラーとネオンカラーを織りまぜた色彩は、見る者に現実と夢の狭間にいるような感覚を引き起こす。浅い眠りの時に見るような夢にこんな生き物が出てきそうだ。nanookがこうしたモンスターたちを描くようになったのは、ポケモンの影響が大きいと話す。また、キリスト教の学校に通っていた影響もあり、聖書からイマジネーションを受けることもあるそうだ。
「2010年はかつてないくらいポップにデストロイしてスパークしたいです。そしてnanookの名を全国の小学生に響き渡らせたい。具体的には、1年以上前からkitabayashi kengoと作ろうと企てているBATTLE ZINEの制作。これでADC賞とりたいですね。でも規格外か(笑)あと、去年リリースされたB級木漏れ日ドローイングブック「ANAL DRAGON」。今後この本にプレミアつくようにがんばりたいです」と、今後の意気込みについても語ってくれた。これからの活動にもぜひ注目していきたい。

Exhibition Information
『nanook Exhibition『pop war now!』”』
December 19 2009 - January 31 2010 at 金柑画廊
12:00-19:00 on Thur to Sun
※1月11日の祝日はオープン致します。
クロージングパーティー
January 31/17:00 - 21:00
Organized&Supported by
Kyoko Ota(KINKAN GALLERY)
Yu Murooka(NANZUKA UNDERGROUND)
Artist Profile
nanook
1984年、東京生まれ。中学、高校と山奥にあるキリスト系の全寮制で育つ。あまり知られてはいないが、当時はダニエル・黙示録研究会に所属という暗い過去がある。しかし、大学時代に行ったアラスカで30分にも及ぶキングサーモンとのファイトにより、周りから徐々に認められる存在に。現在は、「A Delicate Relation You & Me」でデザイン、ドローイング、企画営業を担当。また、地震学者「マグニチュード高橋」としての顔を持つ。だが、その情報源はナショナルジオグラフィックだ。












