異国に旅行に行った時のことを思い出そうとすると、最初にその国のその時の湿度を思い出す。そしてその後に呼び起こされるかすかな『匂い』の記憶。
特に湿度。
それは砂漠のように乾いていようが、熱帯雨林のように湿っていようが、体に汗がまとわりつく程度の湿度でも、のどがちょっと乾くくらいの湿度でもいいのだけれど、それが『写真』という平面の媒体から湿度が伝わってくると、見ていて気持ちが良いなぁ、と最近思っていた矢先に足を運んだエキシビジョン。
米田樹央「FIFTY」@ 代官山 SPEAK FOR
ここに展示された数々の『写真』からは、かすかながらも、その国特有の湿度や、匂いを感じとれ、眺めていると、まるでそれらが自分の旅の記憶のような錯覚にさえ思えた。
Text:加藤淳也
6月26日より東京・代官山のギャラリー SPEAK FOR で開催中のフォトグラファー米田樹央氏によるエキシビジョン「FIFTY」では、今年で革命50周年を迎える『キューバ』で撮影された写真を中心に、約40点もの写真作品と、2009年春夏のコレクションにてキューバの革命家「チェ・ゲバラ」をテーマに作品を展開させたファッションデザイナーの小村和久氏が彼の写真に共感し、制作されたオブジェ・インスタレーションが展示されている。


キューバ危機、チェ・ゲバラ、カストロで彷彿する歴史的な背景や社会主義的なグローバリズム、キューバイメージは感じさせず、写真は、ジャーナリズムな視点というよりも、ファッション誌等で活躍する米田氏ならではの、繊細な光の描写と、美しい色彩感覚によって切り取られ、小村氏のインスタレーションと相俟ってファッショナブルに表現されている。


会場で一番目に入るのが、天井から吊るされた小村氏によるイスタレーション。3枚の大きな布に特殊な印刷で米田氏の写真が印刷されている。小村本人が米田氏の作品を見た時に感じた「体感したい」という思いが、このテクニックと表現方法に決めた理由とのこと。『体感』という感覚が非常に共感できる。

ラテン音楽の中枢であもあるキューバミュージック。会場内に陳列されたたくさんのキューバ関連CDはSPEAK FORセレクト。購入することもできる。



写真を見ていると、徐々に、湿度が導く光の粒子に気づく。iPod にセットしたキューバミュージックを聞きながら、光の粒子を追って行くと、カラフルな車がガタガタと横切る。野球が好きな少年とすれ違ったり、力強く街に佇むひとりの青年に出会う。そしてむせ返るような湿度と、匂いの記憶。
四角い小さな額の中での短くも小さな光のトリップ体験。

Exhibition Information
米田樹央 Exhibition『FIFTY』
JUNE.26.2009 - JULY.4.2009
TIME / 11:00 - 20:00
最終日のみ - 18:00
協力:東京カラー工芸社、オーガスト・インターナショナル、アオラ・コーポレーション、アバハウスインターナショナ
ARTIST PROFILE
米田樹央(フォトグラファー)
1974年生まれ。Studio Fobos、フリーアシスタントを経て2002年、フリーランス・フォトグラファーとして独立。2004年、AVGVST所属。『Spring』『Sweet』『NYLON JAPAN』などの雑誌や、アパレル各社の広告などを手がける。
小村和久(ファッションデザイナー)
1998年、株式会社アバハウスインターナショナル入社。’02-’03A/Wに「5351POUR LES HOMMES」デザイナーとして東京コレクションに初参加。’05年、メンズブランド「SCHORL」をスタート。













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