加賀美健は、我々が一歩踏みとどまるような事柄も、難なく取り入れてしまう。彼の作品からは、暴力や性描写といった過激な表現が顕著にみられる。が、なぜかポップに見えてしまう。面白くて可愛くて、グロテスク。国内外問わず活躍の場を広げる彼の3年ぶり3度目となる個展が、タカイシイギャラリーで開催された。「TOYS“A”SS」と冠した展覧会名の通り、今回は人形やぬいぐるみといったおもちゃと、排泄物や性器などのオブジェを組み合わせた立体作品が多数展示されているが、相反するイメージを共存させる彼のスタイルは健在だ。
Report:大前敬文
installation view, Taka Ishii Gallery, 2008
(左)『Bra』 (2008)、(右)『Telephone No.2』(2008)壁に沿って並べられた作品の数々は、一見すると子供が思わず喜んでしまいそうな光景だが、電話の受話器を切断された腕のおもちゃに付け替えたり、バゲットのサンプルに女性の下着を挟んだりと、ブラックユーモア溢れるものばかり。素材となるおもちゃやオブジェは、アメリカのスリフトショップ(リサイクルショップ)などで買い付けてくるそう。
installation view, Taka Ishii Gallery, 2008
(左)『Naked Elliott』(2008)、(右)『Hulk hand with Penis』(2007)某SF映画のワンシーンや、某アメコミの人気キャラクターの手のおもちゃも、彼の脳ではこのように変換される。つい過激な描写に目が入ってしまうが、彼の独自の色彩感覚やセンスが溶け込まなければ成立はしないだろう。
『Ironing shit』(2008)
『Penis House』(2006)
『Nancy and Patricia』(2008)カラフルなおままごと用のおもちゃと、排泄物のオブジェや性器を連想させるぬいぐるみを組み合わせたり、着せ替え人形がおかしなポーズにされていたりと、思わず笑ってしまうような作品が並ぶ。ストレートに提示すると重くなりがちなテーマを、あえてライトで受け止めやすいアウトプットに落とし込んでいることも加賀美の作品の特徴。
installation view, Taka Ishii Gallery, 2008会場の奥には遊具や苺のオブジェなどを設置。それぞれに彼のエッセンスが混じり、奇妙な”子供部屋”が形成されている。壁には木製の十字架に下着を張り付けた作品も。タブーとされるテーマに”挑戦”しているのではなく、 彼の”本能”がただそうしているように思えてしまうのは、彼の作品からは無邪気な子供心がにじみ出ているからだろう。
Courtesy of Taka Ishii Gallery / gallery.sora.

Exhibition Information『加賀美健:TOYS“A”SS トイズアス』Jan 17 2009 - Jan 31 2009 at Taka Ishii Gallery
Artist Profile
加賀美 健
74年東京生まれ。国内外で数々の個展、グループ展に参加するかたわら、Tシャツデザイン、アパレルブランドとのコラボレーション、アルバムジャケットデザインなどで活躍中。ドローイングからインスタレーション、スカルプチャーまで表現形態も幅広い。












