Struggle For Pride、Bushmind、スマーフ男組に続く、東京アンダーグラウンド最後の隠し玉2MUCH CREW が、結成から10年以上の時を経て、ついに待望のファースト・アルバム『BUBBLE YOU』をリリースする。
Text:長汐祐人
神出鬼没に活動を続け、『RAW LIFE』に2年連続で出演を果たすなど、一部では熱狂的な人気と知名度を獲得し、独特の存在感を誇るバンド2MUCH CREW。1度見れば誰もが度肝を抜かれるであろう彼らのライブパフォーマンスは圧倒的だ。
テンポのズレなどお構いなしに手打ちでガシガシ叩かれるリズムボックス。やけにでもなったかのように言葉を吐き出し、観客を煽りに煽るMCぽえむとYo!マイキー。でっかいグラサンがトレードマーク、紅一点ナンシー・フミの信じられないくらいに脱力しきった(時には歌わないこともある)ボーカル。それらが1つに混ざり…合ったりなんかまったくしない。担当パート、楽器も曲ごとに変化してしまう。(100%良い意味で)このまとまりのなさこそが2MUCH CREWの最大の魅力だ。
そんな彼らがついにリリースするファースト・アルバム。CDというパッケージメディアでは、あのスリル感たっぷりのライブの勢いは半減してしまうのではないか? そんな不安は、再生ボタンを押した時、一気に消し飛ぶことになる。そこに繰り広げられているのは、いつものライブと同じ、いやそれ以上に自由で危うい2MUCH CREWの世界だ。
ヒップホップを主軸としながら、エレクトロ、パンク、ハードコア、ファンク、テクノ、ハウスと軽すぎるフットワークでジャンルを縦横無尽に行ったり来たり。CDであろうとも、少しのテンポのズレなど気にぜずガンガン進むトラック。やけくそなMCも、ナンシーの脱力ボーカルも顕在。およそスタジオで録って編集したものとは思えない自由さ。だが、それゆえに洗練された音楽からは決して生まれることはないであろう、ただならぬパワーが発せられた異質なアルバムになっている。
まったく飾らない、いつだって直球しか投げない2MUCH CREW。「10年やってこんなもん!」こんな自虐的なフレーズは彼らにしか書けないし、彼らにこそふさわしい。そのスタイルは本当に爽快で、このアルバムもとにかく最高に気持ちが良いのだ。

Release Information
『BUBBLE YOU』
アーティスト名:2MUCH CREW
レーベル : WORD IS OUT!
リリース日 : Jan 21. 2009

Artist Profile2MUCH CREW 90年代半ば結成。04年より現在の、ぽえむ、YO!マイキー、FUCKMASTER FUCK、SANOXO BABIES、ナンシー・フミの5人編成となり本格始動。05年、自身のレーベルより「2MUCH CREWの11月革命&12月革命」リリース。片面に演奏、片面にメンバーによるDJ MIXからなるカセットテープ2本組と、変則的な形ながら好評を博す。05、06年、RAW LIFEに連続出演。さらに、コンピレーション・アルバム「GHETTO BEAT PUSHER’S」(g.e.t.o.) に参加し、音楽誌、サブカルチャー誌にたびたび登場するようになる。メンバーのFUCKMASTER FUCKのMIX CD「ANSWER ME!」が一部の好事家にカルトヒット。JET SETより、FUCKMASTER FUCK Tシャツが発売される。演奏スタイル、ジャンルは多岐にわたり、担当パート、使用楽器は曲ごとに変化。基本はバンド形態ながら、メンバーそれぞれのDJ活動もあり、ターンテーブル中心のライヴも。「楽器がうまくなったらパートチェンジ」という発言に見られるように、ガレージや初期エレクトロ、シカゴハウスに通ずる未完成とされるものをそのまま、放出していくRAWな感触。何かが崩壊するギリギリのところで反転させていくスリル。スカム、ローファイといった単語と共振しつつも、そこをユーモアとビートと想像力で乗り越えていく現場パワーは、極めて独自なポップ感に満ちている。













