『エターナル・サンシャイン』(04年)、『恋愛睡眠のすすめ』(06年)、『TOKYO!』(08年)など、新作を発表するたびに映画監督としての評価を高めている鬼才ミシェル・ゴンドリー。これまで、独自の観点からラブストーリーを描いてきた彼だが、ジャック・ブラック、モス・デフらの個性派キャストを迎えた最新長編作『僕らのミライへ逆回転』で表現したのは、あふれんばかりの映画への愛情だった。
Text:原田優輝
「好きな映画をリメイクして、完成した作品をみんなで一緒に楽しむ」
ミシェル・ゴンドリーが数年来温め続けてきたこの単純明快かつピュアなテーマが、ついに実現した最新作『僕らのミライへ逆回転』。
物語の中心となるのは、いまだにVHSしか置いていない街のおんぼろレンタルビデオ屋で働くマイク(モス・デフ)と、幼なじみのトラブルメイカー、ジェリー(ジャック・ブラック)。
ある日、発電所で感電し、強力な電磁波を帯びてしまったジェリーが、その磁気のせいで店内のすべてのビデオの中身を消去してしまう。店長の出張中を襲ったこの出来事への対処法として、2人が考えた苦肉の策が、冒頭のそれだったのだ。
『ゴーストバスターズ』『ロボコップ』『2001年宇宙の旅』etc…。
これら往年の名作を勝手に解釈し、”超”手作り感覚でリメイクした彼らの作品は、意外にも街の人々に大好評。だが、当然のごとくハリウッドの映画会社からクレームが—。
原題「Be Kind Rewind」とは、VHS全盛期、アメリカのレンタルビデオ店のキャッチフレーズで、「巻き戻してお返しください」の意。DVDが普及し、もはや死語となったこの言葉をタイトルに据えていることからもわかるように、この作品には、手作りを愛する監督の古き良き時代へのノスタルジックな愛情が、全編を通して貫かれている。
だが、そこはミシェル・ゴンドリー。単なる懐古主義で終わるわけもなく、現在のハリウッド大作主義、そして異常なまでの著作権保護へのアイロニーもたっぷり含まれている。
あらゆるものがワンクリックで複製可能な現代において、既存の文脈を踏まえつつも、そこに極私的な解釈やアイデアを加えていくことで生まれるものを、もうひとつの「オリジナル」として肯定する本作。ゴンドリー自身のもの作りへの姿勢が集約されたこの心温まる愛の賛歌にこそ、”ミライ”があるように思えてならない。
『僕らのミライへ逆回転』は、10/11よりシネマライズ、シャンテ シネ、新宿バルト9ほか全国ロードショー。

Information
『僕らのミライへ逆回転』
監督・脚本:ミシェル・ゴンドリー
主演:ジャック・ブラック、モス・デフ
配給:東北新社
2008 / アメリカ
(c)Newline Productions / Junkyard Productions











