男と女が出逢ってから成就するまでのラブストーリーを王道とするならば、諏訪敦彦監督が描くラブストーリーは常に異端だ。本作でも、周りからは理想のカップルと憧れられている結婚15年になる夫婦が、別れを決意した場所のその先にあるドラマを描いている。
Text:須永貴子
友人の結婚式に出席するために、パリへやってきたマリーとニコラ。2人が離婚を決めた理由などの、過去や過程の説明は一切ない。描かれているのは、すでに激しく言い争うわけでもなく、アンニュイな空気が支配するなかで、現在進行形で進む2人のやりとりのみだ。
プロットのみの脚本をもとに、役者たちが即興でセリフと動きを放ち、カメラがそれを追いかけるという諏訪スタイルは、ともすると難解にとらえられがちだが、生み出される映画は実にシンプル。理由や結末が描かれていないからこそ、感情が離れてしまった男女のドラマが、より普遍性をもって観客の人生に寄り添ってくる。人間も、夫婦も、そして映画も、不完全であることを良しとしようー。それが諏訪敦彦のメッセージなのかもしれない。
『不完全なふたり』は6/30より新宿武蔵野館でロードショー。
本作で監督を務めた諏訪敦彦氏のインタビューはこちらから。

Information
『不完全なふたり』
監督:諏訪敦彦
主演:ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ、ブリュノ・トデスキーニ
配給:ビターズ・エンド
2005 / フランス・日本










