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近森 基、久納鏡子、筧 康明を中心に2004年に設立。主にインタラクティブアート分野における作品制作を手がける。作品制作で培った技術やセンスを活かし、公共空間、商業スペースやイベント等での空間演出や装置・コンテンツ制作、プロダクトデザイン、大学と共同での技術開発など幅広く活動している。
Contact plaplax ltd. URL:www.plaplax.com E-Mail:ppx@plaplax.com |
![]() 「The Rainy Table」 Photo : Ryuichi Maruo (YCAM) |
![]() 「The Rainy Table」 Photo : Ryuichi Maruo (YCAM) |
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![]() 「hanahana」 |
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![]() 「地球環境を考える」 |
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![]() フリップブック作品集 『もしもの森』 |
90年代後半から、メディア・プロダクツ・ユニット「minim++(ミニムプラプラ)」などでコラボレーションを続けてきた近森 基と久納鏡子を中心に、2004年に設立されたplaplax。メンバーに筧 康明、小原 藍が加わった現在は、美術館での展示だけでなく、コミッションワーク、舞台演出、研究開発など多岐に亘る活動を展開している。誰もが直感的に体感できるシンプルなインタラクティビティを大切にし、作品の背景にある「ストーリー」を時間軸とともに広げていくplaplaxの主要メンバー、近森 基と久納鏡子の2人に話を聞いた。
Text:原田優輝
まず始めにおふたりの出会いから教えてください。
久納(以下K):ふたりともSFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)の2期生で同級だったんです。当時の先生の中には、、メディアアートのパイオニアだった藤幡(正樹)さんや、朝日新聞の科学記事担当の記者時代から、日本に海外のメディアアートを紹介した坂根厳夫さんがいて、そのような人たちとの出会いをきっかけに、この世界に接するようになりました。また、SFCは日本におけるインターネットの最初の拠点だったこともあって、環境が整っていたのも大きかった。3、4年生の頃には、授業のなかで自分たちでホームページを作ったりもするようになりました。それが90年代の半ばくらいですね。
その頃からお互いに感覚が近いと感じていましたか?
K:作っていたものが近かったわけではないのですが、話をしていくうちに、例えば絵本的なものに興味を持っていたりと、面白いと感じているものが近いということがわかりました。その後、お互いに制作の手伝いをしたりしているうちに、一緒にやってみたらどうかという話になったんです。
おふたりの役割分担というのはあるのですか?
近森(以下C):お互いに割と守備範囲が広いので、きっちり役割分担があるというわけではありません。だからこそコラボレーションが成立するのかなと思います。「ここから先はわからないからお願い」という感じでは、なかなか高まっていかないし、お互いが何をやっているのかを分かっているからこそ、意見を言い合えるというところもありますからね。

「hanahana」
匂いを視覚化することをコンセプトにした作品。センサーが匂いの強さや時間的変化を察知し、それに応じて壁面に投影された花の絵柄がリアルタイムで変化していく。
大学卒業後すぐにplaplaxを立ち上げたのですか?
K:大学院を卒業する前後から、近森と「minim++(ミニムプラプラ)」というユニットを組んで、作品を発表したりしていて、その後当時東京大学の学生だった筧くんを誘い、それを期にplaplaxを立ち上げました。今はアート作品の制作、インタラクティブデザイン、研究を三本柱にした活動をしています。
C:plaplax設立時に会社化したのですが、それによってやれることも広がっています。メディアアートを起点に、どれだけやれることを広げていけるのかというのは、当時からずっとチャレンジをしていることでもあるんです。
K:色々な人と一緒に仕事ができたらと思っています。実際に、これまでまったく無縁だった現代美術のギャラリーから声をかけて頂いたりもしています。現代美術の文脈のなかで、メディアアートがやっていくためにはどうすればいいかということにも最近は興味を持っています。

「Tool’s Life」
plaplaxの代表作のひとつ。テーブルに置かれた日用品に触れると、そこから様々な「影」が出現する。
現在はどのような場所で作品を展示することが多いのですか?
K:メディアアートの作品を展示できる美術館はまだそう多くないので、映像系のフェスティバルや科学館のようなところで展示をすることもよくあります。基本的には、呼ばれればどこでもやるという感じですね(笑)。企業からオファーを受けるコミッションワークのようなものもありますし、最近は商業施設や公共施設に作品を収める空間演出に近いような仕事も増えていますね。
作品を作る上で大切にしていることを教えてください。
K:インタラクティブアートの一番大きな特徴は、やはりアクセスしたらスグに何らかの反応が起こるというところだと思うんです。だから、その場で直感的な理解につながるものというのは心がけています。
C:それは例えば、科学展示などのお手伝いをする時でも同じで、文字情報ではなんとなくしか理解できないものに対して、別の器官を使って感覚的に理解を促すようなものを作るようにしています。そうしたものは、論理的な理解度は低いかもしれないですが、長いスパンで見ると、感覚的な理解というのも大きなものなんじゃないかと感じています。

「地球環境を考える」at 日本科学未来館
plaplaxさんの作品は、そうしたシンプルで直感的な作りである一方、その場の反応だけでは終わらない物語性や時間軸というものも強く感じます。
C:もともと映像というのが自分たちの根底にあるんです。だから、時間軸も常に重要な要素として考えていますね。
K:私たちが作る作品は、建築等とは違い、プロジェクションの距離などによってサイズが簡単に変わったりします。だから、「サイズ」などよりも、空間全体を「時間」を軸に考えていくところが大きいかもしれません。
C:僕たちはいつも、「コンセプトを考える」という言い方をせずに、「ストーリーを考える」と言うんです。例えば、「このテーブルはどういう物語における舞台装置なのか?」というように、すべての要素を物語の登場人物として考えていくことで、自ずとその役割が明確になってくるんです。もうひとつ例を挙げるなら、タイムマシンというものを考える時に、タイムマシンの形状や機能を描写しようとするのではなく、「タイムマシンがあったらどういう世界ができるのか?」ということに注目するというイメージです。
K:まず始めにどういう作品・状況を作りたいのかがあって、その実現のためにどんな技術を選ぶべきなのかということを考えます。私たちの作品には、もちろん技術も不可欠ではあるのですが、メインで見せたいのはそこではありません。例えば、同じセンサーを作るにしても、それがこの物語のなかでどうあるべきかということを考えることで、見えてくるものがあるんです。

「KAGE」
円錐のオブジェに触れると、CG映像による「影」が予想外に反応する。「影」という物理現象と、CGによる仮想的な表現を融合させたこの作品は、第一回文化庁メディア芸術祭で大賞を受賞した。
代表作「Tool’s Life」など、「影」をモチーフにしたものが多いのも特徴ですよね。
K:影って、存在は分かっているけど、なかなか固定しにくいものですよね。他にも、『匂い』や『足跡』など、”存在のネガ”のようなものを扱うことで、自分たちの存在について考えるということに興味があるんです。例えば、まだplaplaxを結成する前に作った「Tool’s Life」の元になった「KAGE」という作品も、映像の原点である影絵というモチーフを現代的に表現しつつ、偽物の影と本物の影が重なることで生まれてくるストーリーというものを意識して作っています。
C:これらの作品には、自分たちなりの絵本を作りたいという意識があります。それは1ページ目から順に進んでいくリニアな絵本ではなく、どこから接したとしても何かしらの反応があり、それが組み合わさっていくことでストーリーになるという意味での絵本です。
K:複数の人が同時に触った時に、色々なことが起こるものというのは意識しています。「Tool’s Life」にしても、それぞれの道具が持っているストーリーと触る人のストーリーが重なることで色々な関係性が生まれるんです。例えば、女の子がお母さんと見に来ていた時には、女の子がライターを触って火を出して、それを消してもらうためにお母さんにじょうろを触らせて水を出してもらうというようなやり取りが生まれていました。そういう新しいカタチの絵本として、こういうものもあり得るんじゃないかなと。

「at - sight specific series」
床に投影された都市空間に来場者が足を踏み入れると、その位置に対応した江戸時代の古地図が浮かび上がり、さらに複数の来場者が同時に入ると、交差したポイントに様々な動物の足跡が浮かび上がる。足跡の種類は十二支に対応しており、来場者が足を踏み入れる方角によって決まる
K:実は、絵本雑誌の仕事なんかもいくつかやっているんです。それらは飛び出す絵本のようなインタラクティブなメディアではないですが、決められたフォーマットのなかで何ができるのかを考えることも面白い。空間においてもそれは同じで、最近はセンサーや映像装置を入れられないところで空間全体を作り込むというような仕事もありますね。
C:2年前にグッドデザイン賞を頂いた名古屋駅近くの地下道の空間演出もそのひとつです。この場所は、センサーを管理したりすることが環境的に難しいということもあり、最初は壁画を描いてほしいという依頼だったんです。クライアントが以前に僕らが出した絵本を見ていたようで、その世界観を求められていました。でも、僕たちは本来絵描きではないので、もう少し空間的に考えさせてほしいということを伝え、天井や床、照明までやらせてもらうことになりました。地下道を9つのゾーンに分け、それぞれ異なる9種類のカラー照明を用いてシルエットを映し出し、それを300メートルにわたる立体絵巻に見立ててストーリーを作っていきました。雨や木漏れ日のような演出もしていますが、それらはインタラクションがあるものではなく、すべて照明で表現しました。おかげさまで、今では名古屋の話題の場所のひとつになっているようです。

「A Tale of Stray Kittens -異世界旅行猫絵図-」
最近では、コンテンポラリーダンス集団の珍しいキノコ舞踊団とのコラボレーションも話題を集めましたね。
K:以前にもダンスの舞台とコラボレーションする経験はしていたのですが、本格的に一緒に作っていったのは、今回が初めてでした。実際にやってみると、舞台のなかでのインタラクティビティを考えた時に、ダンサーに反応するものにするか、それとも観客に対して反応するものにするのかという2種類の方向性があったりして、色々と考えさせられることが多かったですね。メディアアート周辺の人たちは、割と他の分野の人と一緒に何かをする機会が多いんです。その時に色々勉強していかないといけないことも多いのですが、色んなことを学んでいける機会でもあるので、とても楽しいですね。
C:ダンサーの視点と僕らの視点がまったく違うことも新鮮でした。例えば、舞台美術ひとつ用意するにしても、自分たちはインスタレーションをやることが多いので、作品に接するお客さんの距離から見てキレイに見えるかどうかという基準があるのですが、舞台の場合は、お客さんと舞台の距離があるので、そうした見た目の部分よりも、実際にそれをガンガンぶつけたりしても塗装がはがれないかどうかとか、滑りすぎたりしないかとか、そういう機能的な部分が重要だったりするんですよね(笑)。それと同時に、ダンサーは舞台上の装置に触れるので、ダンサーが触った時にストレスのないものにしなければならない。

「The Rainy Table」
Photo : Ryuichi Maruo (YCAM)
最後に、今後の予定や展望などを教えてください。
C:屋外彫刻のプロジェクトが進行中です。以前にあるイベントの一貫で、3、4日間限定で、インタラクションのあるパブリックアートのようなものを屋外に展示したことはあったのですが、今回は恒久的に展示されるものになりそうです。そのぶんハードルは高くなるのですが、メディアアートをどこまで持ち出せるかというテーマにはチャレンジしていきたいんです。その先にはある夢があって、それは公園を作ることなんです。今後メディアアートが超えなければいけないハードルが、『公園』という要素にはスゴく含まれていると思うんです。
K:あと、ふたりとも今大学で学生に教えていることもあり、次世代の人たちがどう道を切り開いていけるかということも考えていきたいですね。次の世代がついてこないと、分野として広がっていかないですからね。そういう意味でも、これからも自分たちが何か機会がもらえた時には、「ここまでやれるんだ」という可能性を提示していきたいと思っています。



























