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中根浩、中根さや香を中心にした映像ユニット。2001年よりコマーシャル、ミュージックビデオを中心に、グラフィックデザイン、ショートフィルムなどの演出、制作を手がける。エジンバラ国際映画祭やRESFEST、onedotzero、cinefeelなどの国内外のフィルムフェスティバルで数多く紹介され、最近では、A TRIBE CALLED QUESTの全米ツアーステージ映像など、ボーダーレスな活動を続けている。 Contact ELECROTNIK URL:www.elecrotnik.com E-Mail:info@elecrotnik.com |
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実写、CG、アニメーション、3Dなど、様々な手法を自在に操るミュージックビデオなどの作品で高い評価を得ている映像ユニット、エレクロトニック。一度見たら忘れない”残る”映像作りを追求し、楽曲のエッセンスを濃厚に圧縮させた”エレクロトニックワールド”で、毎回見る者を楽しませてくれる彼らには、どのようなバックグラウンドがあるのだろうか? 中根浩、中根さや香の二人に話を聞くことができた。
Text:原田優輝
ユニット結成の経緯から聞かせてください。
中根 浩(以下H):もともと僕が先に映像の仕事をしていて、ミュージックビデオなどを作っていたんです。その時は自分の名義でやっていたのですが、さや香からもアイデアをもらって作ったものが結構面白かったりして、何本かそういう形で作品を作っていたんです。そのうち、これだけ盛り上がるなら一緒にやろうということになり、その時にエレクロトニックというグループ名を付けたんです。
中根さや香(以下S):もともと私は油絵をやっていたんです。その後、グラフィックデザインの会社に就職したのですが、当時やっていた仕事があまり面白くなくて、もっと作品性の高いものをやりたいと思っているうちに、自然と映像に流れていきました。
H:僕も最初はグラフィックデザインでした。自分たちの世代は、ちょうど版下からMacへの移行期だったんです。そのうち、アニメーションソフトとかも色々出てきて、グラフィックデザイナーでも割と気軽に映像制作に入れる環境が整ってきていたんですね。映像は時間軸などの要素もあって面白いと感じ、その頃から自分も個人的に映像作品を作るようになりました。そうしたら、意外にそっちに需要があったみたいで、バイト感覚で映像の仕事もやるようになって、次第にそれがメインになってきちゃって(笑)。その後、映像の制作会社に入り、そこで本格的に色々な手法を覚えました。さや香ともそこで出会ったんです。
『KAMI』RIZE
おふたりのベースは平面表現にあるようですが、そこから時間軸を持った映像表現へシフトすることは難しくなかったですか?
S:勉強しました(笑)。でも、誰かに習ったわけではないから、探り探りって感じでしたね。自分の好きな映像でカット割りを分析してみたりとか、コマ送りでひたすら見たりということをやっていましたね。
H:コマ送りはよくやってたよね。「これ、どういうふうになってるんだろう?」って。最初は、普通のビデオプレイヤーでコマ送りしていたんですけど、最後の方は、それだけでは物足りなくて、業務用の機材を買って、1フレームずつ見るのが趣味になってた時期もありました(笑)。
もともと映像への興味は強かったのですか?
H:そうですね。映画とかも好きで、キューブリックなんかをよく見てました。キューブリックの映画には色んな要素がありますよね。グラフィックデザインのように構図がしっかりデザインされているし、ストーリーも深くてスケールが大きい。そういうところにグッと持っていかれちゃってましたね。あと、中学生くらいの頃に、MTVでマイケル・ジャクソンの「スリラー」のミュージックビデオなどが流れていて、カッコ良いなと思って見ていましたね。
S:私もマイケル・ジャクソンが最初でしたね。あとは、ジャッキー・チェンとプロレス(笑)。

『4 seasons』Micro
映像と一言で言っても、様々な切り口があると思うのですが、ユニット結成当初は、どのようなところに力を入れていこうと考えていましたか?
S:やはりアニメーションですね。当時は撮影の仕方も知らなかったし、スタッフもまったくいない状態だったので、できることはアニメーションくらいだったんです。
H:いまやCGやアニメーションは、ある程度出し尽くされた感じもあるし、目新しさはないですけど、当時はミュージックビデオでそういうものを使うこと自体が最先端という時代だったんです。だから自分たちはそこからスタートしようと思ったし、そこを起点に、実写やセルアニメなど足りない技術をどんどん埋めていきましたね。
おっしゃる通り現在では、作品によって様々なアプローチを使い分けていますよね。
H:はい。ただ、究極的な表現というのは、どれだけシンプルに強い映像が撮れるかというところだと思っています。そこに迫るために色々なことを消化していこうと思っているところがありました。何も技術を知らないでシンプルにやることしかできないのと、他に選択肢がたくさんあるなかで、あえてシンプルに撮るという選択をするのとでは、意思の力が違うと思うんです。自分たちは後者をやりたい。ただ、フルアニメでいった方がカッコ良いという時は、迷わずそっちを選択するし、状況に応じて考えた上で、作品として一番クオリティが高いものを出せたらとは思っています。
2人でやることのメリットはどういうところに感じますか?
H:大きな強みは客観性が保てることだと思います。例えば、ミュージックビデオにしても、音楽に対して思い浮かぶイメージというのは、人それぞれですよね。でも、誰もが共通して持っているような映像を作ろうとすると、薄くなってしまう部分がある。かといって、自分にしか思い浮かばないようなワケがわからない表現をしてもしようがないので、全体を把握した上で、これが一番カッコ良いんじゃないかというものを考えるようにしています。その作業をふたりで客観性を持ってやれることは大きいですね。そこでケンカが発生したりもするんですけど(笑)、それは別に悪いことではないんですよね。
『prism』m-flo
ターニングポイントになった仕事があれば教えてください。
S:エレクロトニックがスタートしてからは、ずっと「半笑い」みたいな感じでやってきているんです(笑)。半分遊び、半分仕事みたいな。だから、大きなターニングポイントになった仕事というのは、特にはないんです。
H:僕らにとっての転機をあえて挙げるなら、一緒にやり始めたということなんですよね。そういう意味では、最初にフルCGで作ったm-floの「Prism」とかは大きいかもしれないですね。自分たちは営業とかもスゴいヘタクソなので(笑)、その後もとにかく面白いもの、良いものに向かって真剣に取り組むということだけをやってきた感じなんです。あ、これはターニングポイントかは分からないですけど、SEAMOの「Fly Away」は、自分たちにとっては”ドリームズカムトゥルー”って感じでしたね(笑)。
S:「Fly Away」という曲名だったので、「これはフライングボディーアタックだな」と(笑)。ふたりともプロレスが大好きなので、「この技をこの角度から撮りたい」とか、そういう話をしながら、プロレス中継ではできないことを追求することができました。
H:実際にプロレスファンからもメチャクチャ褒められて。それも、プロレスを色物として使わずに、カッコ良い試合を見たいという純粋な気持ちから始まっていたからだと思います(笑)。
『Fly Away』SEAMO
ミュージックビデオのアイデアはそうした個人的なところから出てくることが多いのですか?
S:これはかなり特殊な例です(笑)。やっぱりまずはその楽曲を聴き込むところから始めます。そこで聴こえてくる音色からイメージを広げていくことが多いですね。
H:フルCGで映像を作っていた時は、自分たちで効果音を足したりしていたんですけど、ミュージックビデオに関しては、それがかえって楽曲の邪魔をしてしまうこともないわけではないじゃないですか。じゃあ違うアプローチを考えようとなった時に、楽曲のひとつひとつの音の意味やタイミングなどを掘り下げて、そこに一番合う映像を作るというスタンスがいいんじゃないかなと。
S:例えば、口ロロの『GOLDEN KING』は、最初に音を聴かせてもらった時に、曲がどんどん展開していくところがスゴく面白かったんですね。それで、以前から気になっていた工事現場の”旗ふりボーイ”の気持ち悪い動きを使って何かやりたいな、と。口ロロのウソかホントか分からない感じと、”旗ふりボーイ”の人がいるのかいないのか分からないような存在感や、LEDの感じなんかが合うだろうと思ったんです。
H:すべて打ち込みで作られていて、延々とループしながら少しずつ変化していく感じの楽曲だったので、そのループ感や変態性を、”旗ふりボーイ”とリンクさせました。”旗ふりボーイ”の側にある照明や矢印の指示板とかも、モノとして面白いですしね。あと、カメラワークでも楽曲の構成とリンクさせることを意識しました。よく見てもらうとわかるのですが、実はこの映像のカメラの動きは、単に寄り引きを繰り返しているだけなんです。カメラの寄り引きを繰り返すことでループするベーストラックを表現して、レイアウトを変えることで上に乗っかるサウンドの変化を表現しています。
『GOLDEN KING』口ロロ
制作をされる際に大切にしていることがあれば教えてください。
H:大リーグボール養成ギブスみたいな感じで、「普通ならこうやるけど、あえてそれはやらないでおこう」という時があります。どうしてもずっとやっていると、手癖に頼っちゃうところがあるじゃないですか。例えば、アニメーションでやれば、それなりに良いものができるとわかっている時に、あえて実写でやってみるということもあります。それによってリフレッシュされるところがあるんですね。なるべく自分たちが飽きないようにやりたいと思っています。
S:例えば、ソニーの「ウォークマン A」の映像を作った時も、最初はモーショングラフィックスで何かやってほしいという話だったんです。でも、モーショングラフィックスの新しいアプローチはないかなと思っていた時期だったので、この時は刺繍というアプローチにチャレンジしたんです。
H:「実生活にあるモーショングラフィックって何だろう?」ということを色々話しているうちに、刺繍ならキレイなラインが出せるんじゃないかというアイデアが出てきたんです。それで実際に刺繍工場に行って、色々見学させてもらうと、やっぱり変な機械とかがあって、これでやるしかないと。
S:この時は音楽を口ロロにお願いしたのですが、工場に行った時に彼らもついて来てくれて、そこで録音した音を使った楽曲を作ってもらいました。
H:映像から発するSEみたいな楽曲を作ってほしかったんです。ミュージックビデオの時とは逆で、「この映像に対してこの音」という必然性を作りたかったんです。
SONY WALKMAN CM
最近手掛けられた仕事についても教えてください。
H:くるりの「愉快なピーナッツ」のミュージックビデオを作りました。女性の股間に赤ちゃんが還っていくという話題作です(笑)。
S:歌詞の「人生は暇つぶし」みたいな箇所が面白いと思って、そういうところからイメージした物語です。子供が生まれてお母さんに戻っていくまでのロードムービーを作りました。色んなところに怒られまくったんですが(笑)。
H:あと、中山うりさんの「ワンダフル」では、エレクロ流のワンカットにこだわりました。カメラを切らずにどんどん背景や衣裳が変わっていくという作品です。一度も失敗が許されないので、現場は大変でしたね(笑)。
『愉快なピーナッツ』くるり
最後に、今後やりたいことがあれば教えてください。
H:スケールの大きなことがやってみたいです。予算的な問題はありますけど、特撮映画を撮ってみたい。僕らが小学生の時に見ていた特撮ものって、ベトナム戦争の影響とかを引きずったクリエイターたちが作っていたものが多いんです。僕らはそうした作品を見て、「コワい」とか「奇妙だ」とか「気持ち悪い」と感じたし、それが自分たちの中に植え付けられていて、今でも何かしらの影響が作品に出ているんですよね。だから、自分たちが作るものにしても、それを見た子供たちが、「何か気持ち悪いものあったよね」と大人になって話せるようなトラウマ的なものを作りたいという思いがあるんです。一発ボディブローを入れときたいみたいな(笑)。
S:それが私たちの制作全体のテーマになっていると思います。どうすればトラウマになるような作品が作れるかということをずっと考えてます(笑)。
H:消費されるだけで終わるのではなくて、どういう形態だとしても、「残るもの」を作りたいんです。それがコンテンツやパッケージとしてだけではなく、見た人の気持ちの中でも良いんです。
『ワンダフル』中山うり






























