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2002年から活動開始。都内を中心にライブ活動を行う。ダメレコ(DMR )のメンバーとして多くの関連作品へ参加しながら、2006年に1stアルバム『少年モンスター』を発表。2007年にMIX CD『shuffle』、鎮座Dopeness とKakatoを結成し、12inchシングル「E加減」を発表した。2008年には、Olive oil 、Evis beatsらをリミキサーに招聘し、fragmentとのコラボアルバム『Mad pop』を発表。また、Shing02との共演で知られるEccyとのコラボアルバム『more?』もリリースした。FUJI ROCK FESTIVAL 08をはじめ、様々な音楽フェスティバルにも出演し、大きな注目を集めている。日本人離れしたタイム感、ポップな声質、型に捉われない自由な感性で、新たな国産HIP HOPの在り方を提示している。
contact 環ROY URL:www.myspace.com/tamakiroy, www.tamakiroy.com E-Mail:tamaki.roy@hotmail.co.jp |
ヒップホップの枠を軽々と超えてしまうフットワークと、そのフレキシブルなセンスで、国産ヒップホップシーンにおいて独特の輝きを放つ環ROY。fragmentやEccyを始め、様々なアーティストと積極的に接触し、その縦横無尽な活動がシーンに与える影響力は一気に増してきている。今年はフジロックフェスティバルやセンスオブワンダー、ボロフェスタなど、ジャンルを問わず様々なイベントに出演し、12月5日にUNITで開催される『Public/image.Foundation vol.2』にも出演が決定。ダンスミュージックシーンで確実に芽を出し始めている新しい感性を持った新世代クリエイターたちの代表格とも言える彼が持つ、ジャンルレスな感覚は、いったいどこから来ているのか? その根源に迫るべく話を聞いた。
Text:長汐祐人
ラップを始めたきっかけを教えてください。
2002年の時ですね。それまではレコードとターンテーブルを買ってきて、DJの真似事をして遊んでいたんだけど、ある日、幼なじみの友達が「トラック作りてー」ってMPCを買ってきたんですよ。それでラップしてみたいなと思ったので、試しにやってみたんです。最初の頃は馬鹿みたいに超早口でラップしてた(笑)。それがカッコイイと思って作ってましたね。
以前からヒップホップは聴いていたのですか?
もうホント完全にヒップホップしか聴いてなかった。仙台の実家で高校受験の勉強をしているときに、石田純一のラジオでブッタブランドが流れてきて。よく考えると謎なんだけど、それが初めて聴いた国産のヒップホップだったと思う…たぶん。その時のことを覚えてるってことは相当なインパクトがあったんだろうなと思うんだけど、その後、すぐCD屋に行って、『人間発電所』か『黒船』か『悪名』っていうコンピか…、ちょっと忘れたんですけど速攻で買って、そこからずっとヒップホップばかり聴いていた。
でかい服着て、フード被って、荒廃した団地の前でドラム缶焚いたりするあのセンス(笑)、「超ルードだなー」ってクラってましたねー。こういう話恥ずかしいですね…。もっといい加減なこと言いたいんですけど(笑)。

ライブを始めた頃はフリースタイルが多かったのですか?
そうですね。最初は、手っ取り早く名前を売るためにバトルに出ようと思って、一生懸命フリースタイルをやっていました。もう病的なくらい。まさにILL。あんなに一生懸命打ち込んだモノって他にないんじゃないですかね。ほんと健気に一生懸命がんばってたと思います(笑)。
YouTubeでの環さんのフリースタイルの動画の視聴回数がスゴいですよね。
あれはスゴいですよね…。12万ヒットとかしてますもんね。あの動画、自分で見てもヒキますね(笑)。集中力と緊張感が尋常じゃなくて…。気持ち悪いでしょ、完全に(笑)。普通の生活ができない人みたいだし。鎮さん(鎮座DOPENESS)は相変わらず可愛いですね。まーあの人も完全に変テコだけど。
環さんにとってフリースタイルというのがやはり原点としてあるのですか?
う~ん、そうでもないんですよね。度が過ぎるほど一生懸命やってたなーって思うくらいで。最近は、ライブの何十分とかでグルーヴを上手に構築するほうが面白いっス。飽きっぽいんですかね。即興は、「即興」なのでやっぱり相当おもしろいんですけど、(フリースタイルを)やりすぎると、普遍性を失っちゃう気がするんですよね。あの集中力ってやっぱ普通じゃないんですよ、感覚はドンドン鋭くなっていくんだけど、視野も狭まっちゃうというかなんというか…。なんでもやり過ぎるといいことない、みたいなもんですかね。
今のCDJを1人で操作するライブスタイルにはどうやってたどり着いたのですか?
CDを2枚持って行けばライブができるので、「超ラクチンだなー」くらいのレベルです。あと、全部自分のグルーヴで進行出きるのがスゴく良いですね。DJと一緒にやっていたことも勿論ありますが、DJと2人でやるにはお互いの「間」をある程度認識する必要があるんですよ。それには練習が必要で、それが面倒すぎてどうしてもイヤだったからっていう苦肉の策です。でも今は「CDだけ持っていって、オケを流して、リズミカルに喋るだけ喋って、盛り上げて帰る!」とかマジでパンクすぎてイイなーって気に入ってます。

fragmentやEccyなど、トラックメーカーとコラボしたアルバムをリリースされてきていますね。周りには、多くのトラックメーカーがいると思うのですが、その中でどうしてこの2組を選ばれたのですか?
あんまり具体的な理由はないですねー…。僕の場合、極論を言うと、理由はいつも「なんとなく」で終わってしまうんですよ。直感でコロコロ意見が変わるし。当然「カッコ良いなって思ったから」ってのは大前提ですけど。
彼らのようなトラックメーカーとは、具体的にどのようにして制作を進めていくのですか?
「ワンループでいいから1週間で5曲くらい用意してよ」とか言って送ってもらったものに、ラップを乗っけて返して、「後は好きにエディットしてくれ」って感じが多いですね。fragmentはもう遅すぎてキレましたね。ムカついてイタ電しまくりました。ピザを勝手に10枚頼んだりしてね(笑)。ま、嘘ですけど。Eccyはさすがの優秀っぷりで、気持ちよい速度でできました。
かなり分業に近いカタチで進めていくことが多いようですね。
そうですね。自分は、トラックにラップを乗っける係だから、あがってきたオケに合うものを自分の引き出しから出してきてラップするけど、その後は知らない(笑)。自分のラップが気に入らなかったら、3バースあるうちの1バースだけ使ってくれてもいいし、一言だけ使ってくれてもいい。カッコ良くなるんなら、極端な話、別に僕のラップを使わなくたっていいってスタンスです。まあ、実際は出来上がったシーケンスを聴いて、ああだ、こうだと意見しまくるんですけどね(笑)。それでfragmentはキレてましたね。ピザ投げてきて家の床がケチャップまみれになってムカつきましたねー。

リリックを通して、伝えていきたいことはありますか?
別にないですね。なんか「メッセージ」って傲慢な気がするんですよ。感じる人は何か感じてくれたらいいなって思ってます。
では、極端な話日本語じゃなくてもいいのですか?
それは普遍性がないからイヤかな。憧憬を含めてポピュラリティのあるものが好きなんです。人気者になったほうがうれしいし、楽しいし。
リリックが思い浮かばなくて悩むことはありますか?
それはないですね。ヒップホップの世界だと「この歌詞何も言ってねえじゃん!」みたいに言う人がいるっぽいんですけどね。でも、でもそういうことじゃないと思うんですよ。だって、そんなこと言ったら、スーパーバタードックの『LOVERS法』とか何も言ってないですよ。真心ブラザーズだって、好き勝手言ってるだけのような曲がいっぱいある。どっちもスゴく良いバンドじゃないですか。ま、実際はなんも言ってなさそうで、なんか言ってそうで、なんも言ってないんだけどなんかある、みたいな(笑)。でも、まあ好みの問題ですよね、その辺は。僕は重くもなく、軽くもないものが好きです。
環さんはヒップホップの枠を超えて、すごく独創的な活動をされていますね。
今はアヴァンギャルドでいたいって思ってます。本質的には王道が好きだから、そこにたどり着くための社会見学って感じですかね。このあいだ、大阪出身のDJ yuiってやつと録った曲なんかもメチャクチャで(苦笑)。「勉強しなくちゃ、まともな仕事に就けないぞ。今は麻薬を売るより、勉強をゴリゴリやるのが本物の悪だぜ!わかる?」みたいな、絶対売れそうもないリリック。そんな頭悪い感じものをやったかと思えば、NEW DEALとテクノやエレクトロで超尖ったディスコパンクを作ったり…。色んな選択肢を提示したいと思ってます。
特定のイメージをつけたくないという考えがあるのですか?
今はそんな気分ですね。プライマルスクリームやジャングルブラザーズのように、アルバム毎に違うことをやってる連中が面白いなと思ってるので。自分の了見から外れちゃうと聴けないという人たちが多いのも知ってるけど、それはもったいないなって思ってます。
2年前にリリースされた『少年モンスター』が、ヒップホップリスナーよりも、曽我部恵一さんやイルリメさんなど、幅広いジャンルで活躍されているアーティストからの反応が良かったということも今の話に繋がりそうですね。
あれを出してなかったら、ローズレコードのコンピレーションには参加出来なかったかもっすね(笑)。そういう反応ってスゴくうれしいです。1st作って良かったなって思いますよ。日本語ラップが大好きなキッズにはガッカリされたみたいだけど(苦笑)。でも、きっとガッカリしてたヤツが20代後半くらいになって、それでも音楽好きで色々と聴き続けていけば、「そういえば、環の野郎、おもしろいことしてたなー」って気づくと思うから、そういう自信があるから、それはそれでいいのかなって思ってます。
ジャンルへのこだわりはなさそうですね。
その方が長くやっていけると思うんですよね。音楽をやっていて1番思うのは、長くやっていきたいということ。前に曽我部さんが、「パンクは絶対に負けることをやっていたから美しいんだ」みたいなことを言ってたんです。それはつまり、普遍性を得られないことをやってアゲインストしているからこそカッコ良いってことなんですけど、そういうのって年を取るほどパワーを失ってしまって、長く続けていくことはできないと思うんですよ。僕は、それはそれで悲しいからイヤだなーって危惧は持っていて、エッジなことだけをやっているのも超カッコ良いけど、長いスパンでみたら持たないんじゃないかなとも思っているので、バランスを慎重にとっていけたらなと思ってます。

環さんを始め、先ほどから話に出ているfragmentさんやEccyさんや、他にもスカイフィッシュさんなど、ダンスミュージックシーンで若いクリエイターの活躍が目立っていると思います。現場にいる環さんからみて、面白いと感じるクリエイターがいれば教えてください。
関西にtofu beatsっていう平成生まれのクリエイターがいて、そいつがスゴイんですよね。人生4度目だかのDJプレイがWIREのセカンドかなんかだって聞きました。でも終電で帰る、みたいな(笑)。彼は、オリジナルはもちろん、リミックスやマッシュアップを勝手にクリエイトして、ネット上でフリーダウンロードさせてるんですけど、「無名なやつが名前を売るには、タダで配ったほうが良い」ってサバサバしちゃっててスゴく痛快。それって、「音源を売ってお金を稼ぐ時代は終わってるんだぜ」っていう今の空気感を体現している活動だと思うんですよ。それで才能があればWIREに参加できちゃう。「CDが売れない」ってよく聞くけど、「音源を売る」っていうビジネスモデルが転換期に差しかかってきているだけなんですよね。じゃあこれからはどうビジネスにするの?ってなった時、みんな答えをまだ得られていない状態、過渡期っつーかなんというか。そんな今だけど、tofu beatsは、どうなるのかわからない「これから」に向かおうとしている1人だと思いますね。
最後に、12月5日に開催されるイベント『Public/image.Foundation vol.2』に向けて、一言メッセージをお願いします。
スゴいメンバーですよね。誘って頂いてありがとうございます。…意気込みですか。オレもミドリくらい人気出たいなぁ…、そんな感じなんですけど(笑)。こんなんで大丈夫っすか!?
















