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1977年生まれ。東洋美術学校視覚伝達デザイン科デジタルグラフィック専攻卒業。卒業生最高賞受賞。在学中、カナダ・ケベック大学デザイン科留学。映像制作会社を経て、2003年RESFEST contact 大月壮 URL:www.0m2.jp E-Mail:ootsuki@0m2.jp |
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誰もが自室で映像を制作できる時代が到来した現代において、その恩恵を最大限に利用し、あくまでも「手軽にできる範囲」という制作方針を貫いてきた大月壮。TV、DVD、モバイル、ミュージックビデオなど様々なフィールドで活動を展開させながら、そのクリエイティビティを拡散させることなく、自身のペースで活動を続ける彼は、自身を「アマフェッショナル」と称するように、良い意味でアマチュアリズムを失わず、独自の個性を発揮してきたクリエイターだ。「面白いもの」「興味深いもの」をキーワードに、自身が持つ世界観を伝えるべく制作を続ける新進映像クリエイターに話を聞いた。
Text:原田優輝
映像表現に興味を持ったきっかけを教えてください。
高校3年生の時に、谷田一郎さんが作ったCMを見て衝撃を受けたのがきっかけです。CGでバイクの形に変形された女の人が走っていくというようなものだったのですが、それを見た時に衝撃を受けたんです。それまではCGやデザインなどにあまり興味がなかったのですが、そのCMは今まで目にしていたものと何か違う感じがしたんです。当時は、CG技術もかなり発達してきていて、どんどん実写に近づいているような時期だったと思うんですけど、それはあえてド下手なCGになっていて(笑)。それに影響を受けて、当時パソコンオタクだった兄のMACを借り、「 Photoshop 」や「 Premiere 」などのソフトやスキャナーを手に入れて作品を作るようになりました。
自宅で簡単に映像制作ができる環境が整ってきていた当時の時代性も大きく影響しているようですね。
パソコンで手軽にできるというのは大きかったですね。高校を卒業してからは、谷田さんの母校である東洋美術学校に進んだのですが、学校の授業なんかで絵具を使うと、片付けとかがスゴく面倒くさくて(笑)。PCだとそういう作業が一切ないですからね。それ以来、PCの力を借りつつ、自分のできる範囲内でずっとやってきている感じです(笑)。
『NANA SONG』FUURI
当時谷田さんの他に影響を受けたクリエイターはいましたか?
ある時、谷田さんが載っている本を兄が買ってきてくれたのですが、そこにタナカカツキさんや宇川直宏さん、田中秀幸さんなんかも載っていて、その辺りからだいたい自分の方向性も固まっていった感じですね(笑)。カツキさんは、映像の先に彼の哲学を感じられるところが好きですし、宇川さんは映像云々というところを越えて、独自のコンセプトが感じられますよね。自分もそういうものを発揮できるような作品を作りたいし、それをうまくプレゼンできるようになりたいと思っているのですが、まだまだですね(笑)。
カツキさんとはしばらく一緒に仕事をされていたんですよね?
はい。専門学校の卒業間際に、カツキさんに作品を送ったことをきっかけに知り合って、それから遊びに行くようになりました。その後、学校を卒業してしばらく経ってから、カツキさんのところでお手伝いするようになりました。とは言っても、アシスタントという感じでもなく、カツキさんのことが好きで入り浸っていたという感じでしたね。当時は、僕の他にも (菅原)そうたと(牧)鉄兵がいて、一応「カツキ塾」ということになっていました(笑)。そこでは、カツキさんと一緒に「モシャ&クシャ」というアニメーション作品や、ミュージックビデオ、TV番組用の映像などを作っていました。
「モシャ&クシャ」
カツキさんから影響を受けた部分はありますか?
影響というよりは、元々共通する部分だったと思うのですが、カツキさんって”小洒落た感じ”を真っ向から否定する人なんです(笑)。年上の人でそういう人に会ったのは初めてでしたし、僕自身も元々そういうところがありました。あと、基本的に僕は「カッコ良いもの」を求められることが苦手で、それよりも「面白いもの」とか「ヤバいもの」が好きなのですが、その「ツボ」も近かったですね。だから、カツキさんと仕事をしている時はかなり刺激がありましたし、影響も受けていると思います。
「面白いもの」「ヤバいもの」を作るという姿勢は、その頃からずっと貫かれているようですね。
そうですね。「アイデア」「面白さ」「興味深さ」がポイントですね。最初に「何だろう」と思わせて、最終的に結論が導き出せるような作品を作りたいと思っています。ただ意味がわからないだけで終わるのはイヤなんです。だから、コンセプトはしっかり作っていこうと心がけています。
一貫して追求しているコンセプトやテーマはありますか?
ベタなんですが、「宇宙」とか「存在」というテーマは常にありますね。本当に考えるべきことはこれくらいしかないんじゃないかとすら思います。「そもそもなぜ『存在』があるのか?」とか、そういうところから派生してくる何か根本的な問いに対して、「自分はこう思う」というのを提示したいんです。なんか学生の深夜の集まりみたいなんですけど(笑)、そういうのが一番好きです。案件にもよりますが、そういうテーマを作品に込めていけたらと思っています。一番重いところですけどね(笑)。
でも大月さんの作品には、そうした「重さ」は感じられないですよね。それは原色が多用される独特のヴィジュアルによるところが大きいと思うのですが、そのあたりの感覚はどこで培われたのですか?
昔からカラフルなものやサイケデリックなものが好きなんですよね。デザインの基本として、色数は減らした方が見やすいと言われたりもしたんですけど、グチャグチャな色合いが好きなんですよね(笑)。あとは意味的に難解なものは好きではないので、テーマが重くてもなるべくエンターテイメントとして感覚的に伝えたいです。
「NMNL」
作品はCGで制作することがほとんどなのですか?
CGや簡単なアニメーションでできる範囲のものばかりです。先ほども話しましたが、「自分のできる範囲」でずっとやってきているんです。そういえば、小学校の頃に、ダブルラジカセで色々なアニメの主題歌を録音して、それをつなぎ合わせた MAD を作ったり、あるマンガの吹き出しやキャラの顔を他のマンガに貼付けて、マンガMADを作って友達と見せ合ったりしていたんですけど、今振り返るとその辺りから感覚は変わっていないのかもしれません。自分でマンガを描くのではなく、編集してMADを作るという気軽なノリと言いますか。今でもゼロから手描きをすることはほとんどなくて、Photoshopの「指先ツール」とかを使って描いています(笑)。
実写などにはあまり興味がないのですか?
スタジオを借りて、バシッと照明当てて豪華な撮影をすることとかにあまり興味がないんですよね。それもやっぱり「自分でできる範囲」ということなんですが、例えばブルーバックの撮影なんかも、自分で場所を作って、ライトも当てずにやっちゃうんです(笑)。それでもなんとかできますからね。なるべく自分のコントロールできる範囲でやりたいんです。
すべての工程を自分で手掛けることが理想ということですか?
うーん、どうなんでしょうね。要はハイクオリティなものに興味がないということのような気がします(笑)。完成されきったものに惹かれないんですよね。それよりは、気軽でちょっといい加減なものの方が好きです。本家よりパチモノっていうか(笑)。それを見てくれた相手が納得してくれればそれで良いと思っています。
普段の仕事の場合、その「相手」はクライアントになるのですか?
基本的にはそうなると思うんですけど、視聴者のことを考えた時に、クライアントがハードルになることもありますよね。理解のあるクライアントなら良いのですが、そういう場合ばかりではないので、堅めの仕事などもやりながら、その合間にちょこちょこ面白いものを作って、「これ使えないですかね?」と伺うようなスタンスでずっとやっていますね(笑)。
「それいけ!7ちゃん」
TVやDVD、ミュージックビデオ、ファッションブランドのイメージ映像、企業のプロモーション・ツールなど、非常に幅広い分野の映像を作られていますよね。
基本的にあらゆる要素の隙間を突くというスタンスでやっているので(笑)。例えば、(牧)鉄兵にはアニメーションという個性があるし、清水(康彦)君ならミュージックビデオの人と言えると思うんですけど、僕にはそういう強みがないんです。しかも、基本的にカッコ良いものを高い水準で作り続けるというスタンスが向いていないので、裏から突いていくしかないのかなと思っているし、そっちの方が自分的にも楽しいんです。業界の「掟」のようなものを問われる仕事は難しいですね。
でも、確固たる立ち位置がないと、案件によってかなり左右されてしまう部分もありそうですね。
それはありますね。何でも器用にやりすぎると作風がバラバラになってしまうし、逆に自分がやりたい手法だけにこだわると仕事にならないですよね。例えば、今ハイスピードカメラにハマっていて、友達にバカな走り方をしてもらって、それをひたすら撮影したりしているんですけど、例えばこれをミュージックビデオに置きかけた時、アーティストが走っている様子をハイスピードカメラでひたすら撮り続けるというアイデアを出しても、それだけではまず通らないですからね(笑)。でも、そこが自分なりの「面白さ」の入り口ではあるんです。
なぜハイスピードカメラに興味があるのですか?
以前は、ハイスピードカメラはある程度予算がないと使えないものだったんですけど、最近は個人でも購入できるものが出てきていて、無駄なものもハイスピードカメラで気軽に撮れるようになったんです。だから、これを使ってあえてくだらない映像を撮っているというところもあるんです。そういうテクノロジーの恩恵というのも、とても重要な部分だと思っています。アマチュアもプロフェッショナルも関係なく、見た人がグッとくるようなものが作れたらそれで良い気がします。食える食えないはまた別の話ですが(笑)。
そうしたプライベート作品なども色々作っているのですか?
これからはもっと力を入れてやっていきたいと思っています。例えば、(菅原)そうたなんかは、どこに出すわけでもなく、その日の夢に出てきたものを映像にするという作業を日課にして、2年くらいやっているらしいんですけど、そういうことを自分もやりたいと最近は思っています。ただ、僕の場合は色々作ったとしても、「出口」がないとモチベーションが上がらないので、VJ素材を作るという名目でやっています。最近、(菅原)そうた、長添(雅嗣)君、清水(康彦)君たちと一緒にMOVIE BOYZというVJユニットを結成したんです。これまで2回やったのですが、やっぱりVJもお客さんありきなんだということを実感しているので、これからはもっとフロアライクなものも作っていけたらと思っています。
『just a seekers song』APOGEE











