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77年東京生まれ。これまでに60ヶ国以上を訪れ、合計すると世界4周分という圧倒的な行動力で、目的意識のはっきりした非ランドスケープを撮り続けている。写真集に「worldwidewonderful」( Niepce)、「worldwidewarp」(ビジュアルアーツ)、「WWWWW」(青幻社)、「PIPELINE ALASKA」(プチグラパブリッシング)、「Inner Passage」(エスプレ)など。 contact Gallery White Room Tokyo Address:東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F Tel: 03-5774-1911 URL:http://www.g-whiteroom.com |
![]() 『INNER PASSAGE』(2008 / エスプレ) |
![]() 『PIPELINE ALASKA』(2007 / プチグラパブリッシング) |
![]() 『PIPELINE ALASKA』(2007 / プチグラパブリッシング) |
![]() 『PIPELINE ALASKA』(2007 / プチグラパブリッシング) |
![]() 『INNER PASSAGE』(2008 / エスプレ) |
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![]() 『PIPELINE ALASKA』(2007 / プチグラパブリッシング) |
![]() 『WWWWW』(2006 /青幻舎) |
![]() 『world wide warp』(2003 / ビジュアルアーツ ) |
ひとつの表現に留まることなく、自由に写真のコンセプト/モチーフを変化させながら作品を発表し続ける写真家・石塚元太良。初写真集『worldwidewonderful』から最新刊『Inner Passage』まで、わずか7年の間に5冊もの写真集を発表した彼の、貫かれた写真のテクスチャーとその豊富なアイデアはどのようにして生み出されてきたのだろうか? 現在、 Gallery White Room Tokyoで展覧会『Inner Passage』を開催中の彼を取材した。
Text:小濱亮介
まずは写真を始めたきっかけについて聞きたいのですが、石塚さんはもともと映像に強い興味を抱いていたんですよね?
そうですね。映写の仕事をやっていたから、やっぱり映画館での体験は大きかったと思います。心からスゴいと思える作品にいくつも出会ったし、何よりも光が像を結ぶあの感覚に惹かれていたんですよ。そこが写真に繋がったんでしょうね。でも、今思えば、写真を見てカメラを始めようと思わなくて本当に良かったと思います。
それはどうして?
絶対誰かの真似から始めてしまうから。最初に何かを始める時に、自分がインスパイアされたものを隠す必要はないと思うけど、同じメディアの作品等に刺激されていると、世界が狭まってしまうような気がするんですよ。自分も森山大道さんが大好きで、すごく濃い白黒のプリントをした時期もあったから(笑)。
影響を受けたメディアと異なるフィールドで制作活動を行う感覚が良かったということですか?
そう思います。最初から勢いでやれましたしね。写真は、その意味でスゴくカタチになりやすかったんですよ。もちろん映像もノンリニア編集なんかが広まって、作業もずいぶん楽になっていたけど、自分はパソコンより暗室の方に惹かれたんですよね。

そうやって写真を始めて、『worldwidewarp』(ビジュアルアーツ) の基になる世界旅行に出かけるまではダム工事の現場で働いていたんですよね?
はい。旅の資金を貯めるために、ずっと肉体労働をしてました。実は、その現場でもずっと写真を撮っていて、600枚ぐらいプリントもあるんですけどね。
ダムという同じモチーフにひたすら挑み続けたことが、自分のテクスチャーを作るのに役立ったとか?
一番たくさん撮った時期だから、そう言ってもいいのかもしれないですね。やっぱり数多くシャッターを切ったものがないと、自分なりのテクスチャーは生まれないはずだから。
その頃はフィルムで撮っていたんですよね。工事現場でフィルム交換もして?
そうです。35mmで撮ってたんですけど、ネガに砂利が入ったりしてスゴく汚かったんですよ(笑)。でも、アフリカ旅行を考え出した頃からはデジタルカメラも試したりして…。
アフリカ旅行を含め、写真集『worldwidewarp』に収められている作品は全てデジタルの写真で構成されていますよね。微妙な時間差のある縦位置の写真2枚で見開いていくという。
縦位置の写真2枚で見開くっていうのが、人の目線の在り方に近いと思ったんですよ。それであれぐらいの量があれば、景色が変わっていくことを追体験できるんじゃないかな、と。


そのあたりから、『wwwww』(青幻舎)ぐらいまでの写真は、ほとんどが縦位置でしたよね。今も他の写真家に比べたら、圧倒的に縦位置の作品が多い写真家だと思うのですが、そこには何か強いこだわりがあったのですか?
それはもう病気みたいな話なのかもしれないです(笑)。横位置の写真を連ねると、どうしても映画みたいにコマが変わっていくような気がして…。もともと自分は、映像をやりたかった人間だから、そうやって写真が物語的に見えてくることに、逆に抵抗を感じたんです。だから、それはもうフレーミングの癖とかではなく、オブセッションとか病みたいなことだったんだと思います。
でも今は、例えば『PIPELINE ALASKA』(プチグラパブリッシング)のように横位置の写真も撮るようになっていますよね?
そういう意味では大人になったのかもしれないです。でも、今でも自分はどちらかというと「縦位置」の人間。アラスカのパイプラインにしたって、あれだけ延々と続いているものだから、本当は横で撮る必要もない。それをなぜ横で撮るのか? 今はそんなことを考えることで救われたり、作業が進んだりしている気がする。だから、縦横の問題はすごく大事だと思っていますね。
なるほど。では写真のテーマはどうやって見つけるのでしょう? 石塚さんは一般に「旅」と密接な写真家だというイメージがあると思うのですが、やはり「旅」は重要な要素になりますか?
また氷河の写真を撮りにアラスカに行く予定だし、この間も1ヶ月間ヨーロッパを巡ったりして、遠くに出かけることはスゴく大切だと再確認しているところではあるけれど、旅をすることがそのままテーマになるわけでもないんですよね。何かモノの見方を変えるきっかけさえあれば、いくらでも写真の面白さが見つかるような気がしています。

先日、写真集が出版された『INNER PASSAGE』(エスプレ)は、まさにそんな感じですか?
そうですね。別に遠くに出かけなくたって、カヤックで東京の河川を下るだけで街の見え方が変わってくる。『INNER PASSAGE』にしたって、『PIPELINE ALASKA』にしたって、身体的にはすごくハードな撮影をしているんだけど、別に旅みたいなものを大上段で構える気はないんです。旅なんて、みんな日常的にしてるものだと思うし、モノの見方を変えるきっかけなんてどこにでも潜んでいると思う。それこそ干してあるTシャツを真下から眺めるだけで、いつもと全然違う風景になるんですから。
昔の石塚さんは、そういうきっかけを身体を移動させることで獲得してきたタイプの写真家だったと思うのですが、最近はそうでもないですよね。日常の中でも感覚をシフトさせる、知覚のチャンネルを切り替えることが上手くなってきているような気がするんです。
それはカヤックから撮ったからでしょうね。東京を撮ったことが大きかったです。
東京はもうかなり前から撮り続けていますよね。それが「1 0」の展示になり、さらに継続されて今「4EYES」というシリーズとして実を結ぼうとしている。この「4EYES」というのは、どんな意味なんですか?
スラングで「近眼野郎」という意味で、牛乳瓶の底みたいな眼鏡をかけた奴のことなんです。東京の風景って、垂直と水平ばっかりで、どこか近視的な感じがしたんです。

作品コンセプトが明瞭だったこれまでのシリーズに比べると、日常の中で撮られている分、テーマが曖昧とも言えそうな写真だと思うのですが、それには何か意図があるのですか?
「写真に帰る」って言うんですかね。それはさっき話した、モノの見方を変えるきっかけはどこにでも潜んでいるということに繋がるし、誰でも日常的に旅をしているということと同じなのかもしれない。写真を編んでいると、いろんなところに物語を発見してしまう自分がいて、どうしてもその物語に引っ張られそうになるんだけど、写真ってそういうものじゃないっていう想いもありますし。
テーマや物語の先に行きたい、という感じなのでしょうか?
表現を伝えるという意味ではテーマやコンセプトは重要だと思うけれど、いくらそこを突き詰めても、自分で理解しきれるものでもないんですよね。「なぜパイプラインを撮るのか?」「なぜ全身白タイツで氷河に向かおうとするのか?」。それがわからないからこそ強いものになるし、続けていけるような気がしているんです。




















