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遠崎寿義 慶應義塾大学卒業後、株式会社イメージソースの取締役を経て、2005年5月ザ・ストリッパーズ株式会社を設立。広告キャンペーンのWebデザインを中心に、最近ではTVCMやグラフィック、パッケージまで幅広い仕事を手掛けている。One Show Interactive Gold Pencil / ロンドン国際広告賞 Winner / 東京インタラクティブ・アド・アワード金賞等、受賞多数。 著書に、『Webデザインの「プロだから考えること」 』(インプレス)、『デジタルの仕事がしたい』(岩波ジュニア新書)などがある。 contact THE STRIPPERS Tel:03-5779-3058 URL:www.strippers.jp E-Mail:info@strippers.jp |
![]() Yahoo!「Internet Creative Award」(2008) |
![]() Yahoo!「Internet Creative Award」ポスター(2008) |
![]() インテル「セントリーノ氏の優雅な週末(2008) |
![]() インテル「セントリーノ氏の優雅な週末(2008) |
![]() インテル「CPU FIRST GUIDE」(2008) |
![]() インテル「CPU FIRST GUIDE」(2008) |
![]() 「THE PROCESSING MATCH」(2007) |
![]() 「THE PROCESSING MATCH」(2007) |
![]() 「Honda STEP WGN 2007.秋 ポスターつくろうコンテスト」(2007) |
![]() 「Honda STEP WGN 2007.秋 ポスターつくろうコンテスト」(2007) |
![]() 「爽健美茶 コレカワラボ」(2007) |
![]() 「爽健美茶 コレカワラボ」(2007) |
![]() 「バタフライ・ストロークス キャラクターズ」(2006) |
![]() 「バタフライ・ストロークス キャラクターズ」(2006) |
![]() 「バタフライ・ストロークス キャラクターズ」(2006) |
![]() Honda「低床低重心キャンペーン」(2006) |
![]() 「talby」(2005) |
![]() 「talby」(2005) |
![]() 「talby」(2005) |
![]() 「MID-TOKYO MAPS」(2001-2002) |
![]() 「MID-TOKYO MAPS」(2001-2002) |
インターネット創成期から実験的な個人作品を制作し、その後もイメージソースの取締役として、数多くのWebプロジェクトを成功させるなど、常に第一線で目覚ましい活動を展開してきた遠崎寿義。彼が2005年に立ち上げたザ・ストリッパーズは、巷で話題を集める様々なキャンペーンサイトを手掛けるだけにとどまらず、Web表現で培った感性を武器に、現在はその守備範囲をTVCMやグラフィック広告などの分野にまで広げつつある。Web業界の先駆者のひとりとして、業界の最先端を疾走してきた男は、今後のクリエイティブシーンにどのような指針を示そうとしているのだろうか?
Text:原田優輝
まず始めにWebとの出会いについて教えてください。
僕の出身校であるSFC(慶應大学 湘南藤沢キャンバス)が、コンピュータに力を入れている大学だったので、インターネットについても日本で普及するようになる以前からすでに触れていたんです。でも当時は、まだ周りにやっている人も少なかったし、大学の必修だからやっていたという程度で、外とつながっている感じはあまりしなかったですね。

その頃からご自身で作品を作られていたのですか?
そうですね。当時はまだFlashもない時代だったので、Javaアプレットなどを使って個人作品を作っていました。その頃に作った作品のひとつに「the Synapse Project」というものがあるのですが、これはいわゆる連想ゲームのようなもので、複数のユーザーが同時にひとつのキーワードから連想を広げていくというプロジェクトでした。例えば、「マック」という言葉から、「ハンバーガー」を想像する人もいれば、「アップルコンピュータ」を連想する人もいますよね。さらに、ジャイアンツの助っ人外国人なんかを想像する人なんかもいて(笑)。そうした様々な反応を、「男性」「女性」などのグループに分けて、それぞれの傾向を抽出できるようにしていました。
当時は、Webのどんなところに面白さを感じていたのですか?
基本的には今も変わっていないのですが、Webサイトを通して、向こう側に誰かがいるという感覚を得られるところですね。「the Synapse Project」でも、自分が操作している横で、ある種の伝言ゲームのようにまったく違う言葉が紛れ込んできて、それとつながっていく感じなんかが面白かったですね。

「the Synapse Project」(1999)
大学を卒業してからの経緯を教えてください。
大学卒業後、イメージソースという会社の取締役として7年間働いていました。イメージソースでは、最初はHTMLのコーディングをしたり、Javaアプレットを使ってWebサイトを作成していたのですが、次第にディレクター的な立ち位置で色々なプロジェクトを手掛けるようになっていきました。当時はコーポレートサイトを作る機会がとても多かったのですが、まだ業界が成熟していなかったこともあり、広告やカタログの素材を流用して、インタラクティブなギミックを入れてあげればそれで良かった時代でした。僕は元々プログラマーとしてスタートした人間なので、そういうものを作ることは割と簡単にできたのですが、今考えるとそうしたサイトの作り方は、本質的なところを間違えていたような気がします(笑)。
徐々に全体のディレクションまで手掛けるようになったということですが、プログラマーとディレクターでは、何か大きな違いはありましたか?
基本的にはあまり変わらないですね。当時は、すべての行程において何かしら自分で手を動かしていたことが多かったですからね。その頃から感じていたことは、新しいインタラクティブなアイデアがあった時に、それを考えた人間がデザインまでやっていかないとなかなか良いものが作れないということ。元々紙媒体を手掛けていたデザイナーだけが集まっても、面白いアイデアは出にくいし、プログラマーとして技術面に長けた人だけでも同じなんです。そういうこともあって、プログラムからデザインまでを手掛けていたのですが、それが次第にディレクター的な立ち位置につながっていったのだと思います。

「MID-TOKYO MAPS」(2001-2002)
東京の歴史、地形、ライフスタイル、文化施設などを海外の都市と比較しながら、東京の素顔を見つめ直し、未来を考えるプロジェクトとして立ち上げられた「MID-TOKYO MAPS」。ユーザーは様々なインタラクティブ体験を通して、東京の今を実感することができる。
イメージソース時代に手掛けた仕事のなかで印象に残っているものを教えてください。
本当にスゴい数のサイトを作っていたのですが(笑)、ひとつは「MID-TOKYO MAPS」というサイトですね。2001年にインターネット博覧会という催しがあったのですが、そのイベントに参加していた森ビルのパビリオンに展示するために制作した作品です。プランナーの西村佳哲さん、アジールデザインの佐藤直樹さんと一緒にディレクションを手掛け、「東京をもう一度見つめ直そう」というテーマをサイトに落とし込みました。2年近く継続的に更新していた作品だったので、勉強になることも多かったですし、この作品でOneShowなどを受賞することもできました。
その後、2005年にザ・ストリッパーズを設立されますが、独立のきっかけについて教えてください。
イメージソースをやめる直前に、auの携帯電話「talby」のキャンペーンサイトとして、人工無脳を使って、ユーザーの問いかけに対して自動的に回答が得られるシステムを作ったり、オンライン上で「talby」を立ててドミノ倒しができるページを作ったり、色々なコンテンツを用意したんです。その時に、CGで映像を作ったり、その前後の他の仕事でも、撮影をしてコンテンツを作っていったりなどもあって、そうした作業を通して「これからはWebサイトだけを作っていてもあまり未来がないんじゃないか?」と思うようになったんですね。イメージソースの時にそうしたことをまったくやっていなかったわけでもないのですが、そういう立ち位置の会社を新しく作りたいと思ったんです。心境的にも一度リセットしたかったのかもしれません。

「talby」(2005)
最近手掛けた仕事について教えてください。
Intel Centrinoプロセッサーテクノロジーのキャンペーンサイトとして「セントリーノ氏の優雅な週末」という作品を制作しました。1つのシーンを9つのアングルのカメラで撮影していき、ユーザーが自由にカメラを選択して進んでいくと、予め用意されている4つのエンディングのうちのどれかにたどり着くというストーリーになっています。この作品もそうだったのですが、最近は手掛ける仕事の範囲があまりに広がっていて大変なんです(笑)。この時もうちのスタッフが撮影だけで手いっぱいになってしまったので、Flashとデザインは別のチームにお願いしましたし、最近は以前に比べて外注率が増えていますね。

インテル「セントリーノ氏の優雅な週末」(2008)
最近は、Web広告にも映像をはじめとする様々な表現アプローチが求められるようになっていますよね。それも遠崎さんがストリッパーズを立ち上げた時から想定していたことだったのですか?
そうですね。Web制作会社でも映像がしっかり撮れるとか、そういうところが今後は重要になってくると思っています。それができないと、結局CMの素材をもらって流用、ということになってしまうし、インタラクティブだけで面白いことをしようとしても限界が見えてくると思うんです。技術的な面でも、すでにだいぶ出揃ってきていて、目新しいものはここ3,4年間出てきていない。だからこそ、これからはもっと映像やマス広告と連動していかないと、新しい表現は生まれにくいと思っています。業界の力関係として、グラフィック広告をやっているチームの方が、Webチームよりも上という感覚は今でもあって、Webだけの企画が通りにくいという現状はあります。でも、これからはWebのチームでグラフィック広告やCMなどもやっていけるという流れが作れたら良いなと思っています。
昨年はProcessingの技術を用いたTVCMも制作されていますよね。これからはそうしたWebならではの感性が色々な分野で発揮されていくと面白いと思います。
そうですね。そうは言いつつ、グラフィックとWebの広告を一貫して作るというのは、実際にやってみると難しい部分も多いんです。単純に作業量も多いですし、メディアの特性自体がまったく違うものなので、同じコンセプトを貫くことが簡単ではない。その辺は今後の課題ですし、悩ましいところですよね。

Exbeaute TVCM(2007)
これだけ様々なメディアや表現が絡み合う時代において、Web広告の存在意義にも変化は感じられますか?
変わっていかないとダメだと思ってます。最近はクライアントも、グラフィックとWeb広告の統一感が取れていないことを気にすることが増えています。そうなった時に、グラフィック広告のことが理解できていないと、今まで通りグラフィック広告の制作チームにイニシアチブを取られてしまうし、広告全体の枠組みが決まった後で、「Webでも面白い物を作ってほしい」と言われても困ってしまうところがある。そうした状況を手をこまねいて見ていると、Web制作会社がオペレーター的な立ち位置になりかねないと思うんですよね。
Web広告の企画を考えていく際には、やはり最初に話されていたWebならではの面白さという部分が起点になるのですか?
ケースバイケースですが、基本的にはそういうものが多いですね。昨年制作したインテル「THE PROCESSING MATCH」では、自分のパソコンのCPUの処理速度を、他のユーザーと競えるようなサイトを提案しました。これも別のユーザーと何かしらの共有をしながら作業ができるというWebの特性を生かした企画です。このサイトは非常に反響が大きく、2ちゃんねるにもスレッドが今までで11本ぐらい立っていると思います。そこで攻略法等が細かく説明されているんです(笑)。ここまで2ちゃんねるの人が反応するとは思っていなかったですね。

「THE PROCESSING MATCH」(2007)
広告を制作する場合、当然ターゲットやユーザーのリアクションなども想像しながら企画を進めていくと思うのですが、その辺りに関して大切にされているポイントがあれば教えてください。
「ちゃんとユーザーに届く」ということを一番大事にしています。明らかに賞を狙っているようなWebサイトってありますよね。カッコ良いんだけど、コンセプトがわかりにくかったり、賑わっているようで、実は一般のユーザーがほとんど知らないようなサイトは作りたくない。やっぱり話題になるサイトは口コミで広がっていくものですから、いかにしてユーザーに響くサイトを作るかということは常に意識しています。以前手掛けたホンダの「低床低重心キャンペーン」のサイトで、車高が異常に高い「タカインジャー」という架空の車を作ったんです。サイト自体はすでにクローズしているのですが、ユーザーが「タカインジャー」のことを覚えてくれていて、何かのモーターショーについてのスレッドで、タカインジャーの画像が貼られていて、「この車タカインジャーじゃん!」という書き込みがあったりして(笑)。そういうカタチでユーザーに浸透していくのはスゴくうれしいですね。

Honda「低床低重心キャンペーン」(2006)
今後のWeb表現についてもお話を聞きたいのですが、先ほども少し話されていたように現在のWeb表現はすでにもう「出尽くしている」感じがあるのですか?
技術的な面ではそんな気がしていて、革新的な技術はもうあまり出てこないかなと思っています。例えば、僕が「the Synapse Project」を作った頃は、自分でサーバーから作っていたのですが、今は技術が進歩しているから、そんなにチャレンジングなことはあまりできないような気がします。だから、最近はWebだけでなくWebとインスタレーションなどの別の物理的なものをつなげた企画が増えていますよね? でも一方で、Webだけでも表現の仕方やアイデア次第ではこれからも新しいものはどんどん生まれていくと思うし、映像との連動などについては今後ももっと掘り下げていきたいところですね。
最後に近況や今後の予定などを教えてください。
Yahoo!の「Internet Creative Award」のポスターやロゴ、Webサイトなどを.SPFDESIGNの鎌田貴史さんと一緒に制作しました。あと、先日リリースされたばかりのニンテンドーDSソフト『でんじろう先生の不思議な実験室』のWebサイトとグラフィック広告、TVCMのディレクション、パッケージデザインなども手掛けました。



(上) Yahoo!「Internet Creative Award」ポスター(2008)、(下) Yahoo!「Internet Creative Award」Webサイト(2008)



































