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1977年カナダ生まれ。2000年早稲田大学建築学科を主席卒業し、稲門建築会賞受賞。2002年同大学大学院修了後、デザインオフィス「nendo」を設立。現在、東京・ミラノの2都市に拠点を構え、建築からインテリア、プロダクト、グラフィックまで幅広くデザインを手掛けている。ミラノサローネ・デザインリポート特別賞をはじめ、I.D. Annual Design Review最優秀賞、red dot award、グッドデザイン賞など受賞多数。今年のミラノサローネでは、LEXUSのインスタレーションを手掛けた他、Cappellini、De Padova、Guzziniなどのイタリアメーカーから新作を発表し、世界中から注目を浴びた。現在はKENZO Parfumsの世界全店舗のショップデザインや、TOD'Sのショーウィンドウ・ディスプレイのプロジェクトなどが進行中。また、8月には作品集「nendo」の出版を予定している。
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![]() コケの家(2008) |
![]() Lexus L-finesse(2008) |
![]() rokumaru(2008) |
![]() KENZO Parfums(2008) |
![]() chocolate-pencils(2008) |
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![]() 1%@IL2007(2007) |
![]() tetris(2007) |
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![]() 1% 2006AW(2006) |
![]() sinking about furniture(2003) |
一目見た瞬間に「触ってみたい!」という触覚欲求が刺激される有機的なプロダクトや、堅苦しいメソッドから逸脱した斬新なアイデアによる建築やインテリアなどを次々と創り出し、近年ではグラフィック・デザインの分野などにも活動の場を広げているデザインオフィス、nendo。ベースとなるモチーフの特性を生かしながら、そこにわずかな差異を与えることで生まれる独自のデザインは、決して派手さこそないものの、違和感と親近感が同居する独自の体温を持ったコミュニケーションツールとして、様々な空間を彩っていく。今や国内外から引っ張りダコ状態のnendo代表・佐藤オオキに話を聞くべく、目黒にあるオフィスを訪れた。
Text:原田優輝
まずは、nendo設立の経緯を教えてください。
僕が大学院を卒業する頃に、卒業制作を手伝ってくれていた後輩たちと一緒にヨーロッパ旅行に行こうという話になったのですが、ちょうどその時期にミラノサローネというものがやっているということを聞いたんですね。名前くらいは聞いたことがあったのですが、実際に何をやっているところなのかはよく分からなかったので、「じゃあ、行ってみようか」という軽いノリでミラノに行ったんです。僕が学んでいた建築の世界には、制約ばかりがあると思っていたのですが、ミラノサローネでは、プロダクトデザイナーが洋服を作ったり、建築家がティースプーンを作ったり、みんな本当に自由にやっていたんです。そこで初めて、もの作りの本当の楽しさを体感して、その場に一緒に行っていた5人で「いつかここで出展できるようなデザインをやってみよう」ということになり、2002年にスタートしたんです。
nendoという名前の由来を教えてください。
ミラノサローネに出展したいというところからスタートしたユニットということもあり、どこかで「下手に英語やイタリア語の名前にすると恥ずかしいな」という意識があったんです。そこで日本の名前で考えることにして、柔軟な発想を持ち、自由にカタチや色なども変えられるという意味で「ネンド」が良いかなと思ったんです。それをみんなに提案したら「どうぞお好きに」と(笑)。

設立当初はどのような活動をされていたのですか?
大学を卒業したばかりの人間が集まっていたので、ほとんど部活みたいな感じでしたね(笑)。当然仕事があるわけでもなかったので、デザインコンペなんかに色々出してみたり、友人のWebサイトを作ったり、クラブイベントのフライヤーのデザインや映像制作などもやっていました。僕の実家に車庫があったので、そこに簀子とカーペットを敷いて、作業台を置き、各自のパソコンを持ち寄って作業していました。そこで寝泊まりしているヤツなんかもいて、もうホント浮浪者と紙一重(笑)。そうこうしているうちに、学生時代には一個も取れたことのなかったコンペで、不思議と色々賞を頂くようになったんです。その勢いだけで、2003年のミラノサローネに出展して、そこでも賞を頂いて、徐々にメーカーからのオーダー等も来るようになり、今に至るという感じですね。
2002年のミラノサローネで衝撃を受け、その1年後に出展というのは異例のスピードですね! 学生時代にまったくコンペが取れなかったという佐藤さんが、その後急速に評価を高めることができた理由はどこにあったのでしょうか?
初めてミラノサローネを見た時に、肩の力が抜けたのかもしれません。学生の頃は、「建築家たるもの、こうでなければならない」とか「社会性のあるものを作らないといけない」というような制約で頭がパンパンになっていたんです。でも、サローネ以降はそれが完全になくなってしまい、楽しく作るのもアリなんだと思うようになったんです。

引出しの家(2003)
そもそも建築に興味を持つようになったのはいつ頃からだったのですか?
早稲田大学の付属高校に通っていたのですが、3年生の時にアンケート用紙を渡されて、進みたい学部を書かされたんです。そこで学部のリストを見てみると、勉強する内容が一番イメージしやすかったのが建築だったんです。だから第一希望を建築にして、その後に「法律」「土木」「機械」とか書いて。文系も理系も関係なく、メチャクチャですよね(笑)。だから、特に大きなきっかけがあったわけではなく、本当にたまたまこの道に進んだんです(笑)。それまではもの作りにもほとんど興味がなかったし、高校ではずっと部活でボートをやっていて、国体に出たりしてましたからね。
子供の頃はカナダで過ごされていたということですが、そのバックグラウンドは現在のクリエーションに影響していますか?
カナダには11歳くらいまでいたのですが、とにかく白樺の木が周りにたくさんあって、それを石やフォークで削って「黒樺」にして遊んでいた記憶があります。気がついたら白樺の森が黒くなっているみたいな(笑)。ホントに木を削るか『ドラえもん』のマンガを読むくらいしかすることがなかったんです。『ドラえもん』って普通は日常と非日常のギャップみたいなものが面白いものだと思うのですが、ずっとカナダで生まれ育っているから、引き出しとかふすまなどがあるのび太の部屋の感じや、塀に囲まれた空き地というシチュエーションが全然ピンと来ないんですよ。すべてを”スーパーフィクション”として楽しんでいましたね。だから、日本に来た途端、それまで非日常として楽しんでいたものが、急に日常になって面白かった。そういう意味では、日本の文化や考え方などをどこか客観的に見ているところがあって、それがもの作りにも多少影響しているのかもしれません。


(左)N702iS(2006)、(右)book&shelf(2007)
デザインをする上で大切にしていることを教えてください。
あまり大ぶりにならないデザインを心がけています。色やフォルムを大きく変えるのではなく、ほんの少しの違和感を与えるだけで十分に機能するデザインもあると思うんです。スゴく地味な話だと思うのですが、テーブルの真ん中にコップが置かれている状態と、端に置かれている状態の違いを考えていくデザインとでも言いますか…。小さなことが波及して、波紋が大きくなっていくようなもの作りができたら素敵だなと思っています。なるべく少ない手数ですべてを解決できることが理想です。だから、コンセプトもなるべく簡単なものにしたいと思っているんです。スタート地点を簡単なものにできれば、クライアントともイメージを共有しやすいですしね。長期に渡るプロジェクトになってくると、「最初のコンセプトは何だったっけ?」ということになりかねないですからね(笑)。
やはりコンセプト・メイキングはかなり重要な作業になるのですか?
「コンセプト」と言ってしまうと少し堅苦しいですが、モノを作り始める前に、その背後にあるストーリーをしっかり組み立てるようにしています。モノを作っていく過程で色々な制約が出てきて、変更を余儀なくされるということは日常茶飯事です。その時に「このカタチじゃないと成立しない」というやり方だと、そこで止まってしまうので、その裏にある意味やそれが存在する理由などから入っていかないと難しいところがあるんですよね。
そうしたストーリーはどういうところから生み出されているのでしょうか?
僕にとってのもの作りとは、普段多くの人が経験していながら、すぐに忘れられてしまったり、見落とされてしまうようなちょっとした非日常的な感覚を意識的に捉えて、それを分かりやすいカタチに再解釈して届けるという作業に近いんです。だから、決して何もないところから作っているわけではありません。まずベースとなるものがあり、その特徴を分かりやすいカタチに再解釈して、みんなに「あー、わかる!」と思ってもらえるようなモノを作っているつもりです。もしかするとそれは、似顔絵を描いている感覚に近いのかもしれません。似顔絵も、本人のことを知らないと楽しめないですからね。


(左)cabbage chair(2008)、(右)talking(2007)
確かにnendoの作品には、既視感や親近感を覚えるものが多いですよね。
そういう親近感のようなものはデザインの中に入れていきたいと思っています。基本的には無駄を削ぎ落としていくミニマルなデザインが好きなのですが、削ぎ落としすぎて冷たくなってしまうことには抵抗があるので、場合によっては足し算をしていくこともありますね。
そのさじ加減を調節するためには、かなり繊細な感覚が必要になりますよね。
難しいですよね。そのさじ加減は、クライアントやユーザーのことも考えることで、決まってくる部分も大きいですね。「こういう味付けにしたら喜ぶかな」とか「ここは少し加減した方がいいかな」といった具合で、料理人に近い感覚でやっています。だから、クライアントのオーダーやユーザーからのヒアリングというのはスゴく大切で、そこを勘違いしてしまうと、胃がもたれている人にとんこつラーメンを出してしまうようなことになりかねないですからね(笑)。
常に一歩引いた視点でデザインに取り組んでいるようですね。
クライアントやユーザーの視点に立ったり、5年後にその作品がどう見えるのかなどを考えながらデザインしています。自分たちが満足するだけでは意味がないですし、単一の視点のみで考えていると危険な気がします。周囲の反応や評価というのはなかなかわかりにくいところもあるのですが、やはりクライアントやユーザーが満足するということが第一。クライアントやユーザーの意向やコスト的な条件などは、常にたくさんあるのですが、それらの制約がベースとしてあるからこそ、初めて料理ができるという部分もある。基本的には、まず課題が与えられて、それを解決するというスタンスでやっていますからね。
最近はグラフィック・デザインの仕事もやられているようですね。
はい。ただ、平面的なヴィジュアルを作っていくという感覚が元々ない会社なので、考え方としては、立体から派生した平面ヴィジュアルを作っているという感じです。例えば、お店を作った時に、そこで使われるグラフィックも一緒に手掛けたりすることもあるのですが、コンセプトのベースになるのはあくまでもそのお店で、その一要素として、グラフィックも作るという感覚でやっています。
その他に手掛けられた最近のお仕事などもいくつか教えてください。
先日、auの携帯電話のためのアイテムをデザインするプロジェクト「Mobile in Forest」に参加しました。また、8月末にはファッションブランドKENZOの空間インスタレーションを、六本木のギャラリー ル・ベインで発表する予定です。あと、ドイツの出版社からnendoの作品集も8月にリリースされます。
では最後に、今後の展望をお願いします。
基本的には、来た球を打ち返すスタンスでやってきているので、今後の展望を聞かれると困ってしまうのですが、昔からお菓子屋さんのデザインをやりたいというのはあるんです。甘いものが大好きなので、そういうところにもっと貢献していきたいですね(笑)。

meguro office(2007)
























