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次世代のインタラクティブ・クリエイティブを追究することを目的に2004年に設立された、クリエイティブディレクター水藤祐之とデザイナー深澤洋介によるデザインファーム。Tokyo Interactive Ad Awardsグランプリ(2006)、Cannes Cyber Lionブロンズ(2007)、Clio Awards、London Interactive Ad Awards、文化庁メディア芸術祭など受賞多数。
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ブログを通じて世界中の人たちが握手でつながるプロジェクト「The Handshake Company」、実在のバーとネットユーザーがリアルタイムで会話を楽しめる「KETCHAT LIVE」、“人類の瞬発力を鍛える選手権”と題し、「超短距離1m選手権ワンフット」と「ケータイ瞬間応答選手権モバスロン」を企画し、もはやWebデザインという枠をはるかに凌駕してしまったNIKE「ZOOM CHAMPIONSHIP」etc…。あくまでもWebを基軸としながら、そこから広がるあらゆる可能性を模索し、ユーザーを巻き込んでいくイマジナティブの作品は、我々に新鮮な驚きを与えてくれるものばかりだ。考え抜かれた企画に裏付けされたエンターテインメント性あふれる数々のプロジェクトは、いかにして生まれてきたのだろうか? ディレクター水藤祐之とデザイナー深澤洋介の2人に話を聞いた。
Text:原田優輝
まず始めに、おふたりがインターネットに出会ったきっかけを教えてください。
水藤(以下M):僕がいた大学の学部は、かなり早い時期に実験的にインターネットを導入していたこともあり、Webとの出会いは割と早い方だったと思います。
深澤(以下F):僕は、小・中学校の頃にパソコンで簡単なゲームのようなものを作ったりしていました。でも、その頃はまだインターネットはなく、パソコン通信でしたね。面白そうだなと思いつつ、実際に使うことはなかったのですが。
それにしてもかなり早い時期からパソコンに触れていたのですね。
F:小学校の頃にファミコンを買いに行ったのですが、売り切れていたんです。そのお店には、キーボードが付いていてプログラムなども入力できるゲーム機しかなく、あまり違いもわからなかったので、それを買ったのがそもそもの始まりでした。その後、だいぶブランクがあって、大学の終わりくらいにまたパソコンを使いたくなりMacを購入したんです。インターネットの存在を知ったのはその頃でしたね。
(左)ディレクター水藤氏、(右)デザイナー深澤氏。
水藤さんはかなり早い段階でインターネットに触れていたとおっしゃっていましたが、その頃から可能性を感じていたのですか?
M:いえ、最初は何が良いのかよくわかりませんでしたね。その後、皆が使うようになっていくにつれて、徐々に良さがわかってきた感じです。とはいえ、まだその頃はひとつの新しいコミュニケーションツールとして、人とのつながり方が少し変わってきたというくらいにしか感じていなくて、感動するほどのことはなかったんです。でも、大学を卒業する頃にGoogleが出てきて、飛躍的に検索機能が高まりましたよね。それで「これは面白くなる!」と思いましたね。
イマジナティブを結成されるまでの経緯を教えてください。
F:以前から同じ会社で働いていたんです。そこは建築のプロデュースなどを主に手がけている会社だったのですが、僕はWeb制作を担当していました。一方で水藤は建築を主にやっていたので、一緒に仕事をすることはしばらくなかったのですが、徐々に彼がWeb制作にも関わるようになってきたんです。
M:入社2年目の頃に深澤と組んでWebの仕事をするようになりました。
F:その後はコンビでプロジェクトをこなす機会が増えていきました。2人で組む時は、水藤がディレクター、僕がデザイナーという役割でしたね。でも、その会社はやはり建築がベースにあったので、(Webの仕事は)やりづらいところもありました。もっと面白いことをやりたいという欲求があったんです。
M:それまでは紙媒体で使われた広告データをWebでも流用することが多かったのですが、ちょうどその頃からWebのための予算が少しずつ出るような状況に変化しつつあったんです。それならもっと色々なことができるんじゃないか? と思うようになり、自分たちがゼロから生み出せる環境を作るために独立したんです。
「The Handshake Company」MSN
ブログを通じて世界中のネットユーザーと握手をすることを目指したプロジェクト。ユーザーは架空の企業「Handshake Company」の社員となり、Handshake Companyのサイトに開いた穴を通じて、ブログパーツが貼られているサイトの訪問者と握手をすることができる。
おふたりの関係性は、いわゆる一般的な「ディレクター」「デザイナー」の関係とは少し違うような印象を受けます。それぞれご自身の立ち位置をどのように捉えられているのですか?
M:僕はプログラムがほとんどわからないんです。大学の授業で少しは学んでいたので、仕組みなどはある程度把握しているのですが、センスもないですし…。だから、Webに関してはディレクターくらいしかできない、ということもありますね(笑)。
F:僕がボクサー、水藤はトレーナー、ですかね(笑)。ひとりだけでやってしまうと減量に失敗してしまう、…みたいな感じです。もの作りはどうしても深く潜っていく作業になりがちなので、それを水藤が客観的に俯瞰してくれるんです。
M:いつもまずはふたりでアイデアを出し合って、それから実際に絵にしてみて、それに対してまた話し合うという流れでずっとやってきています。その後は、深澤ができないことを僕がやるなり、他から探してくるという感じです。だから雑用からマネージメント、外部スタッフとのやりとりまで、実制作以外のあらゆることをやりますね。いかにしてみんなに良いものを出してもらうか、というのが自分の役割だと考えています。
F:だから「ディレクター」と「デザイナー」とはいえ、あまり上下の関係という感じではないですね。
M:どうしてもある程度の規模の組織になってくると、仕事を回していくためにも、ヒエラルキーのようなものができ上がっていくのだと思いますが、うちは小さなチームですし、そもそもWebは建築や印刷メディアなどと違って、そんなにたくさんの人数が必要なものでもないですしね。
Vidal Sassoonの新キャンペーンテーマ「Fashion*Music*Vidal Sassoon」を一般ユーザーに体験してもらうべく企画された「360°Snap」では、イベント会場を訪れた人たちが、設置された50台のカメラにより360度全方位から撮影され、そのスナップがサイト上にアップされるというプロジェクトを展開。イベント参加者には自身の“360°Snap”が携帯電話の待ち受けFlashとしてプレゼントされた。
F:まだ若い業界ということもあり、僕らが独立した頃は、ルールもほとんどできていなかったし、色々な面で恵まれた状況だったと思うんです。でも最近は、年々「こうあるべき」というものが固まってきている感じがします。
M:今はみんな次のブレークスルーを探している時期かもしれない。僕らも最近は、「Webサイトの提案」にならない仕事も多いです。例えば、カイブツの木谷友亮さんと一緒に手がけた「NIKE ZOOM CHAMPIONSHIP」は、クライアントからシューズの機能を訴求するためのアイデアを求められ、その手法はWebだけに限定されていなかったんです。結局、クライアントから出された「クイック」というキーワードから、「1メーター走」と「ケータイ瞬間応答競争」を企画することになったんです。そのアイデアを実現するためのシステムとして、Webを使ったという感じです。なんでもかんでもWebにユーザーを連れてくるのではなく、このプロジェクトに関しては、もっとフィジカルな企画にすることで、気軽にユーザーに参加してもらえるようにした方が良いと感じたんです。
「ZOOM CHAMPIONSHIP」NIKE
東京と大阪の会場で開催された「超短距離1m選手権ワンフット」では、複数の会場をインターネットでつなぎ、タイムをランキングした。一方、「ケータイ瞬間応答選手権モバスロン」では、イベント開催期間中に携帯サイトに登録したユーザーたちが、着信から応答するまでの時間を競った。
F:あくまでもWebが仕事の中心ではありますが、インタラクションということで考えると、Webだけにこだわる必要はないと思っています。イベント会場に設営に行ったり、一般の人たちが参加している光景を見ることは、普段Webサイトを作る仕事をしている僕らからするとスゴく新鮮。生のフィードバックが得にくい仕事なので、そうした機会はとても勉強になりますね。
M:このような現場とWebをつなぐアプローチとしては、ハインツ「KETCHAT LIVE」が最初に手がけたプロジェクトになります。この時は、渋谷のバーに「ケチャットさん」というロボットを設置し、バーを訪れたお客さんとネット上のユーザーがチャットでコミュニケーションできるという仕組みを作りました。
F:実際の設営はかなり大変な作業ですけど、リアルスペースを使った企画を制作するWebプロダクションがあっても良いですよね(笑)。
「KETCHAT LIVE」ハインツ
ネットユーザーがバーに設置されたロボット「ケチャットさん」を操作し、来店者とコミュニケーションをとることが可能。現在も「ケチャットさん」は渋谷の某バーに設置されている。
先ほどもおっしゃっていたように、やはりWebの外に発想の起点がある作品が増えてきているようですね。
M:結局「ネットに来てまでわざわざ広告を見たい人なんてあまりいないんじゃないか?」と思っているところがあるので、こうしたアプローチが増えているのだと思います。
F:でも一番重要なことは、やはりコンセプトに基づいて作ることだと考えています。新しいものにはみんな興味を持つと思うんですが、これからはもっと根本の部分を突き詰めていきたいと思っています。
M:これまでは表現の目新しさだけでなんとかなってきた部分もあると思っています。もちろん今後もそれは考えていきますが、何よりもオーダーに対してどんなアプローチが的確かということを冷静に判断して、しっかりとしたものを作らないといけないな、と。
なるほど。おふたりが手がけられたサイトは、エンターテインメント性に優れていて、誰もが楽しめるものが多いと思いますが、やはり広告という観点から考えた時に、そのあたりが重要になってくるのかもしれないですね。
M:そうですね。これまでは正直コンセプトと結びつけきれていない部分もあったと思うんです。もちろんブランディングという意味で考えれば、貢献できている面もあると思うし、現在のWeb広告はそうした側面が強いのも事実です。でも、もう少し違う側面もしっかり考えていきたいですね。
「omonbakaru.com」RECRUIT MEDIA COMMUNICATIONS
「リクルートメディアコミュニケーションズ」のリクルートサイトとして制作された「omonbakaru.com」。ユーザーは与えられた3つのお題の商品企画を考え、そのアイデアは特設ネットショップで実際に販売される。これから社会に出る学生たちが、「仕事とは何か?」ということを体感できるようなサイトを目指した。











