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パリの中心部から南東にやや離れたモントレイユのユージン・コットン・ハイ・スクールで前身となるバンドを結成。’60〜’80年代の欧米のロック、ポップス、ファンク、R&Bなどにインスパイアされ、03年にファンシーとなる。強いキャラクターを武器に、ラプチャー、ピーチズ、TVオン・ザ・レディオなど、多くのアーティストに支持され、サポートアクトなどを務める。05年、ヴォーカルのジェシーがライノセラスの『ビッチ』へ客演、2006年はジェシーがジャスティスと『D.A.N.C.E』を共作し大ヒットとなる。今年5月、フランスでリリースされていた『KINGS OF THE WORLDS』にボーナストラックを加えた日本盤がリリースされる。 |
とにかく派手だ。見た目も、思考も、音もー。80年代を感じさせるグラマラスかつクレイジーなヴォーカルのジェシーは、ハードロックとグラムロックとソウルをゴチャ混ぜにしたようなハイトーンボイス。ED BANGER RECORDSのペドロ・ウインターやジャスティスなど、フレンチ・エレクトロ勢と活動を共にしているが、日本デビューアルバム『レ・ロワ・デュ・モンド〜私たちの世界制覇』で鳴らされているサウンドは、よりロッキンで、コンパクト&キャッチーにまとまっていて、あっという間に聴き終わる。でも聴いた後に不思議とテンションがアガっているような、そんなアルバムだ。まだまだ知名度は高くはないが、ちょっとしたきっかけで世界的なバンドに成長するような、そんな可能性を秘めている。
Text:大草朋宏
このアルバムで日本デビューということになりますが、曲順を入れ替えたり、新しい曲を入れたりと工夫していますね。それは日本盤へのこだわりですか?
JESSIE CHATON(以下J):ジャスティスの『D.A.N.C.E』という曲のファンシーバージョンが入っているし、ポインター・シスターズ『アイム・ソー・エキサイテッド』のカバーも入っている。これらはフランスのライブなどでも非常に人気があって、待ち望まれているバージョンだったんだよね。そういう意味では、日本盤に関しては、美しいプレゼントになったと思うよ。特に女性にはサンタさんからのプレゼントみたいな感じ。日本盤のジャケットは、3人の顔がバーンと載っているんだけど、特別美しいジャケになっているね。
RAE MONE(以下R):それにペドロ・ウインターのリミックス曲も入ってるよ。フランスのバージョンも短くて効率的、キャッチーなアルバムだけど、さらにわかりやすいカバーなどを足すことによって、より広く、より多くの人の耳を惹きやすいようにしたんだよ。ただ、『D.A.N.C.E』などのカバー曲は、フランス盤のアルバムをリリースした後に録音したものなんだ。だから日本盤のタイミングというのは、宝くじに当たったようなもの。特に女性に向けてね。
女性? 女性に向けているアルバムなんですか?
J:日本人の女性に言いたいのは、我々が女性の曲線が大好きであるということ。ちょっとくらいぽっちゃりしていてもイイ。セルライトを嫌うな、退治するな。フランスの雑誌では、セルライトは悪の権化みたいに扱われているんだ。セルライトをどうやって退治するかと、女性は日々戦っているわけだけど、退治してはいけない! セルライトは貯蓄してくれ。ビキニを着て浜辺に横たわったときに、男性が見ているのはセルライトである。少なくとも我らふたりはセルライト・ラバーである。冗談じゃないよ(笑)。
同感です(笑)。でも日本人は、世界的に見ても細いですよ。
J:実はセルライトは細い女性にもあるんだよ。細かろうが太かろうが、セルライトはアリ!

Photo:J.B.Mondino
(笑)。…で、そのセルライトと、このアルバムを女性に届けたいということのつながりは?
R:実は、ぼくたちの曲作りの根底には、“性別に対する平等”への強い想いがあるんだ。ぼくはラテン系、ジェシーはアラブ系とフランス人のハーフ。ラテンやアラブは、特にマッチョなオトコ社会。そういうところで育ってきたぼくらが、オトコ社会を覆して、男女格差をなくしていくと高らかに言いたい。フランス語だと、名詞に女性形を当てはめなければならない。普通は女性形まで言わないけど、ぼくらは意識して言っている。これはすごくナチュラルな行為なんだよ。もちろんホモセクシャルな男子にも捧げてるよ。ひと言で言うならば、みんなに愛されたい(笑)。
J:そう。元々そういう野望はあって、全世界から愛されたいんだ。いや、全宇宙から愛されたい!
なるほど、結成当時から愛されたかったんですね(笑)。ノリが良くて、キャッチーな音楽性も結成当時からのコンセプトですか?
J:もちろんグループの最初からそうだし、みんながファンシーになる前から、それぞれが思っていたことだと思うよ。曲としての良さ、メロディの良さ、そしてヒットチューンであるというのがファンシーだと思ってる。ソングライターとしてのクオリティをあげていく。そういうポップミュージックの基本が重要だと思っているんだよ。

ファンシーというバンド名になったのはなぜ?
R:自分たちに一番似合う言葉はなんだろうと、辞書をペラペラ探しながら見つけた。語感がいいし、憶えやすいし、発音もしやすい。意味的にも、自分たちにこれほど似合った言葉もないんじゃないかな(笑)。
会ってみて確かにそう感じました(笑)。『レ・ロワ・デュ・モンド〜私たちの世界制覇』というタイトルも、なかなかビッグなタイトルですが、これもやはり世界から愛されたい願望の表れですか?
J:“宇宙から”と言いたいところだけど、控えめにしておいたよ(笑)。ローリング・ストーンズとか、クイーンとか、ポリスとか、世界級にビッグなバンドに憧れているから、そこまで行くというダイレクトな想いだね。
確かに、世界的なバンドに通じるようなポップさを感じますが、同時にクラブ的なアングラ感も共存しているように感じました。
R:確かにアングラ感は残っていると思う。デモをみんなに聴いてもらった時も、“ポップでグラマラスな部分とアングラ感がうまくマッチしている”と言われたし、自分たちでもそう思うよ。ファーストだからそれもしょうがないと思うけど、次のアルバムはハリウッド級になるよ(笑)。
曲作りで気をつけていることはありますか?
J:プロセスとかよりも大事なことは、一聴して“ファンシーっぽく”すること。そこに辿り着くために努力しているよ。ポップミュージックの黄金期にあったようなソングライティングが今は失われているから、それを取り戻したい。評論家とかミュージシャンだけじゃなく、音楽を知らない一般の人たちが聴いたときにも耳触りがいい、“ザ・ファンシー”と呼べる曲を作りたい。
R:もちろん、今も優れたソングライターはいる。例えばトム・ヨークはいいソングライターだと思う。でも彼をフレディ・マーキュリー、トッド・ラングレン、プリンスたちと比べてみると、やはり何か雲泥の差を感じざるを得ない。スターとしての格というのかな。今の時代はすべてがやり尽くされていて、ソングライターとしては難しい時代なのかもしれないね。だから、救世主としてファンシーが来た(笑)。


Photo:Hiroshi Manaka
見た目もかなり奇抜ですが、それもエンターテインメントの一部と考えていますか?
R:ビジュアルと音楽というのが一緒になって始めて、ファンシーの世界観ができ上がると思うね。どちらもとことんまで突き詰めたい。例えばプレスリーにしろ、T・レックスにしろ、デビッド・ボウイにしろ、音楽とビジュアルのバランスが崩れているような人はいないよね。
J:隣のオッサンがパジャマで歌っているのを見に行ってもしょうがない。やはり音楽とは、スターが夢を与えてくれるものだと思う。
最近は、こだわりの音楽をしっぽりとやっていて、わかる人だけわかればいい、というようなスタンスのアーティストが多いと思います。ファンシーのように、派手でメジャー志向の人たちは少ないですよね。
R:今の時代はそういう考え方が失われていると思う。みんな知的になりすぎているんだよ。迷いとか不安を自分の中に蓄積しすぎて、輝きを失っていると思う。だからそういうキラキラを付け加えたい。今はグラマラスなことがまるでセールに出されているようになっているけど、イメージというのは、手の届かないようなゴージャスなものでなければならない。昔のレジェンドたちは、みんな強烈なイメージを持っているよね。
では最後に、今年のフジロックへの参戦が決まったそうですが、意気込みを教えて下さい。
J:フジロック史上に残る、ビッグなショウになるだろう。へリコプターで到着して、リムジンを用意しておく。花火も上げる。マンガのなかのヒーローだと思ってくれればいいよ。歴史を塗り替えるショウだから、絶対に見て頂かなければならない。まあ、そういう映像を流すんだけどね(笑)。

(左から)RAE MONE、JESSIE CHATON、MOM













