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79年生まれ。文化服装学院在学中より、モデルとして人気を得て連載やスタイリングを手がける。現在、糸や布を使ったアート作品、衣装、空間、映像、イラストレーションを創作するアーティストとして多方面で活躍中。そのオリジナルな世界観が世代を越えて注目されている。また、数々のCDジャケットや広告を手がけるアートディレクターでもある。最近の主な仕事は、流行通信で連載中の『清川あさみの美女採集』、キリン『アルカリイオン水』のCM、絵本『幸せな王子』『人魚姫』(リトルモア)など。
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文化服装学院在学中から、雑誌モデルとして活躍し、高感度なティーンエイジャーたちのファッションリーダーとして注目を集めてきた清川あさみ。そんな彼女が突如として、布や糸を素材とした作品を発表し始めるようになってから、すでに5年が経過した。もはや「元モデルの〜」という枕詞がまったく不要になるほど、広告からプライベートワークまで幅広い活動を展開する女性クリエイターとしての地位を確立し、唯一無二の世界観を表現し続けている。刺繍を始めとする緻密な作業から生まれる温かみや厚みを備えた作品の裏には、果たしてどのような想いが込められているのだろうか? そこには、意外とも思える彼女の本性(?)が隠されていた。
Text:原田優輝
布と糸を用いて作品を作るようになったのはいつ頃からなのですか?
10代の頃に上京して、文化服装学院に入学したのですが、当時はそこまで服作りは好きではなかったんです(笑)。だから、卒業の時くらいは何か作品を作らないとということで、接着芯を張り合わせて、油絵のような絵柄にしたワンピースを作ったんです。とてもシンプルなものだったのですが、絵柄がおもしろかったのか、意外にも周りからの評判が良くて。たまたまその服を着ていた時に、あるライターさんに声をかけられ、アート雑誌で特集も組んでもらえたんです。
その後すぐに作品集『futo』も出版されましたよね。
はい。この作品集も雑誌の特集がきっかけになっています。その時に作品を撮影してくれた瀧本幹也さんから、森本千絵さんを紹介して頂き、作品集の装丁をお願いしたんです。ホントに色々な偶然が重なって、いきなり作品集を出したんですよね(笑)。

作品集『futo』(2002 / マドラ出版)より。
そのあたりをきっかけに活躍の場が広がっていったのですか?
そうですね。作品集を制作した時は、当時博報堂にいた森本さんを始め、広告関係の人が多かったので、そういう仕事も手がけるようになりましたし、一方で自分の作品作りも平行してやっていました。そのふたつの柱が一気に動き出した感じでしたね。
現在は、ご自身の作品作りとクライアントワークはどのような割合でやられているのですか?
一時期は仕事ばかりしていた時期もあったのですが、来年2月に新しい作品集を出すこともあり、最近は作品作りの方に向かっているかもしれないですね。
何か心境の変化があったのでしょうか?
最近、何枚かある自分の皮を一枚脱いでもいい時期に来ているんじゃないかなと思っているんです。来年リリースする作品集でも、自分としっかり向き合って作ったものを出したいという想いがあります。
その作品集はどのような内容になるのですか?
これまでの作品の中でも特に思い入れの強いものと、この作品集のための作り下ろし作品で構成されています。作り下ろし作品では立体にも挑戦していて、荒木経惟さんに撮影をして頂きました。一枚皮を脱ぐときは荒木さん、と自分のなかで決めていたので(笑)。ご一緒させて頂いて本当に幸せでした。スゴく面白いものになっています。

「dream time」(作品集『caico ASAMI KIYOKAWA』より)
Photo:荒木経惟
これまでも多くの写真家とコラボレーションしていますよね。
写真によって作品の見え方は全然変わりますし、次の世界に連れて行ってくれる感じがするんです。以前に制作した絵本シリーズでも、『幸せな王子』の時は、撮影して頂いた今井智己さんとストーリーの相性がとても良かったと思いますし、『人魚姫』では、前から好きだった鈴木理策さんに撮ってもらうことで、ちゃんと「人魚姫」というカタチになりました。私にとって、写真という方法はとても大事です。
なるほど。これらの絵本シリーズも気が遠くなるような作業だったのではないかと想像してしまうのですが、元々手作りで物を作っていくことが好きだったのですか?
実は、手作業は苦手だと思っていたんです(笑)。手作り感のあるもの自体は好きで、自分でもよく買ったりするのですが、作るとなるとまったく別なんです。専門学校時代から糸や針が嫌いでしたしね(苦笑)。だから、自分でも「何でやっているんだろう?」って不思議に思うくらいです。苦手なことを続けているからには、何かしら理由があるとは思うのですが、それがわからないんです(笑)。自分が「見てみたい」とか「ビックリしたい」と思うものを表現していたら、いつのまにか結果としてこうなっていたというか…。

「白鳥の群れ」(絵本『人魚姫』[2007 / リトルモア]より)
写真:鈴木理策
それは少し意外な感じがしますね(笑)。
変ですよね(笑)。このギャップは何だろうとスゴく考えちゃいます。自分の趣向も、有機的なものより、直線的で無機質なものが好きだったりして、作品とは全然違ったりするんですよね。作品だけ見ると、100%女性的なキャラクターを想像されがちなのですが、身近にいる人からは「宇宙人」「赤ちゃん」「動物」「男」「親父」などとバラバラなことを言われます(苦笑)。でもその全部の要素が自分のなかにあるのだろうと思っていますが…。
12月には『relax』『流行通信』の連載企画「美女採集」も作品集としてリリースされるそうですね。
はい。出版記念の展覧会も渋谷のパルコファクトリーでやる予定です。
この企画はどのような経緯で生まれたのですか?
自分自身、「人」への興味が強いこともあり、それまでの自分の作品もモデルが入っているものが多かったんです。そのなかでも特に美しい女子が大好きで、それを題材にした企画をやりたいとずっと思っていたんです。そこで、当時の『relax』にお話をして、06年から連載がスタートしたんです。
「美女採集」のコンセプトを教えてください。
ただ消費されていくものではなく、絵画のように永久に保存されていくものをイメージして、美女のヴィジュアルを作っていけたらというところが元になっています。美術館や博物館に所蔵されたり、図鑑に載るような作品という設定でやりたかったので、タイトルも「美女採集」にしたんです。タレントさんも撮影スタッフの人たちも、本当に豪華な方ばかりに出て頂いているので、みんなのスケジュールが空いた時に一気に出動して、一瞬のタイミングを捕まえる感じだったので、まさに「採集」という感じでしたね(笑)。

「一色紗英×キツネ」(流行通信『清川あさみの美女採集』より)
モデルの人選から撮影ディレクション、アートワークまでを手掛けられているそうですね。
はい。タレントさんの人選に関しては、私が気になっている人はもちろんなのですが、時にはタレントさん側から、という時もありました。撮影スタッフは、その「美女」に合わせて、毎回キャスティングを変えています。モデルさんのお洋服も、私が用意しています。先ほどお話しした「ずっと残していく」というコンセプトを考えた時に、それがベストだと思ったんですよね。その人のためにすべてをオリジナルで作りたかったし、洋服に関しても「ファッション」という捉え方ではなく、あくまでもその「ビジュアル」を作るための一部と考えています。だから、そこに余計な意味がついてしまわないようにしたかった。その「美女」のためのオートクチュールで、その「美女」のためだけの世界感を作るという感じなのでなるべく手作業でやっています。
どのような制作過程でやられていたのですか?
撮影する「美女」が決まったら、一週間くらいその人のことを調べて、イメージを膨らませるんです。まずその「美女」のファンになって、その人がそれまでに見せたことのない部分を引き出すために何が必要なのかを色々考えていくんです。でも、一番大切なのは、やっぱり現場。当日本人にお会いして、事前のイメージと全然違った場合は、その場で洋服やアートワークをすべて変えてしまうこともあります。そういうことに対応するためにも、衣装なんかも未完成の状態で現場に持っていくんですよ。布切れに近い状態で持っていくと驚かれたりもするのですが、最終的にはみなさんに喜んで頂いているので、甘えさせてもらっています(笑)。このスタイルはもう最初からですね。
撮影中もタレントさんとのコミュニケーションを大切にしながら進めていく感じなのですか?
そうですね。女性は変身願望が強いので、それを満たすために一緒にお手伝いしているつもりです。もし私が男性だったら、自分の想いや理想で作っていってしまうと思うんです。でも、私の場合は、同じ女性の立場として、男女問わず幅広い人に向けて、「美女」のアイコンを作っているつもりなんですよね。だから、カッコ良いから作るというよりは、その瞬間にしか創れない作品をより多くの人に伝えたいという想いが強いですね。

「吹石一恵×椿」(流行通信『清川あさみの美女採集』より)
清川さんは以前モデルとして活躍されていましたが、ご自身の経験が「撮る」側に回った時にも生かされることはありますか?
それはありますね。自分がモデルをしていた時もそうですが、やっぱり撮られる本人が気持ち良くないと、良い表情も撮れないんです。そういう意味では、衣装などもとても重要。ただ、逆にスゴく困った顔をした時に見たことない色っぽい表情が出たりするので、そういう瞬間は「もらった!」って(笑)。本人は気付いていないけど、それがスゴく良い表情だったりしますからね。この企画に出てもらっている「美女」たちは20歳前後の子が多いのですが、その頃が一番変化する時期なので、おもしろいんですよね。
作品を見ると、写真による平面作品でありながら、不思議な立体感が感じられます。撮影の後は、プリントを直接縫っているのですか?
バランス等を考えながら、その「美女」によって毎回変えています。プリントにザクザク針を入れて、痕を残した方がカッコ良いと思うときは、直接プリントを縫う自分の手法を使います。普通ではあり得ない立体感のようなものは、写真を縫うようになった時から常に意識しているところです。当時はビックリされましたが、それが今の自分のスタイルになっていると思います。

『Color Fragments』展(東京LAPNET SHIP、名古屋松坂屋)展示風景
パルコファクトリーでの展覧会の方はどのようなものになるのですか?
「美女」になるための研究室のようなイメージで、撮影で使った衣装などをメインで展示する予定です。作品そのものをしっかり見せるというよりも、そこで生まれたライブ感を伝えることを心がけました。
作品集のリリースが続きますが、ご自身の中でも大きな区切りとなりそうですね。
自分がイメージする世界観を多くの人に見せたいというところから生まれている「美女採集」と、自分自身と向き合って制作した来年の作品集は、ふたつの大きな柱だと思っています。この2冊を通して、私が思っていることが少しでも伝わってくれたら良いなと思います。始めは、私もこれらの本が現時点での集大成的なものになると思っていたのですが、一緒に本を作っているスタッフや周りの人の話を聞くと、どうやら私は一週間ごとに考えが変わり続けているみたいなんです(笑)。だから、一区切りというよりは、これもまだ通過点なのかもしれないですね。作るたびにテーマがどんどん増えていくので、結局終わりがないんですよね(笑)。
12月21日から1月7日まで『清川あさみの美女採集展』が渋谷パルコファクトリーで開催される。また、『美女採集 Asami Kiyokawa catch the girl』は、INFASパブリケーションズより発売中。




















