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97年ヨーロッパでブレイクした中野雅之、川島道行からならユニット。エレクトロニックとロックを融合させ、未知の音楽を創造し続ける日本屈指のクリエイターである。UNDERWORLD、FATBOY SLIM、MOBYなどとヨーロッパ、全米ツアーを敢行するなど、ライヴパフォーマンスも高い評価を得ている。デビュー10周年の今年、6枚目のアルバムをリリースする。
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ビッグビート、デジタルロック、ニューレイブなど、ロックとダンスミュージックの融合というのは、カタチを変えつつもずっと続いてきた。6枚目のアルバム『EXPOSED』をリリースするブンブンサテライツは、そんな実験をもう10年も続けてきた。ロック&ダンスというジャンルが当たり前となった今、彼らが鳴らそうとしているサウンドは、何なのか? ギリギリの緊張感をはらんだこのアルバムに、その答えがある。ハイテンションで濃密なアルバムが誕生した。
Text:大草朋宏
前作の『ON』が出たのもまだ去年の5月、今年はフジロックホワイトステージのヘッドライナーを務め、映画『ベクシル』の挿入歌を担当したりと、活動がとても活発だと思いますが、何か明確な意志はあるのですか?
川島(以下K):フェスなどのライヴとスタジオ製作を行ったり来たりするなかでは、(新譜を)「出したい」と「出さなければならない」が、同じスピード感でバランスが良かったですね。うまく流れを作って行けました。
中野(以下N):制作過程での悩みは減っていると思う。昔は、オリジナルって何だろう? アイデンティティを持たせるには? 日本人としてロックという欧米文化にどう取り組むか? とか考えていました。答えなんてないんだけど、そういう模索にいくらでも時間をかけていた時期もあったんです。でもあまり健康的じゃないんですよね。考える時間ばかり長くて何も生み出さないというのは、実は不毛なことかもしれない。生み落とさないと結論が出ないから。
FUJI ROCK FESTIVAL 07
今作に取りかかったときは、どのようなアルバムにしようと思ったんですか?
K:ダンスミュージックを通過したパンクロックであるということは、『ON』からもありました。ビートの種類やビート感などをよりタイトにしていこうと。
N:『ON』というアルバムのなかから抽出して、4つ打ちに特化したアルバムにしたいなと。130〜140くらいのBPMにして。ノンストップアルバムでもいいかと思っていましたね。結果的にそうはならなかったけど、あまりそこからブレてはいないと。
“ダンスミュージックを通過したパンクロック”ということは、自分たちのなかではパンクロックをやっているという意識が強いんですか?
N:今作は確かに、パンクっぽい。ゆるいものではないですね。いま鳴らしたい音とか、世になくてはならない音。
K:それに、音楽的なことだけでなく、アティチュードの話でもありますね。
確かにゆるくはないですね。曲も短いし。
N:ハードコアバンドなんて30分以下のアルバムもあるし、ひとつひとつの展開がダンスのそれとは違うから、2小節か4小節ごとに必ず何かが起こる。早い展開でスピード感を持ってやっています。キックだけ16小節聴いているなんてないし、そういう意味での性急感はパンクロックだと思います。
パンクロックっぽいという意味で言えば、ボーカルも強くなっているような気がします。
K: 9.11以降、世の中が音楽に対してもう一度、意志あるモノを求めていったと思うんです。だから僕が当初よりもボーカリスト然としているのは、ビートやベースだけではなく、僕らの存在意志を歌とか言葉にも含めて届けようというのもあります。聴いて欲しいというのもあるし、分かる人にだけ分かればいい、というものでは決してない。間口を広げるという意味でのコミュニケーションとして、バンドサウンドを出すことで、お客さんとより密な関係性を保っていこうと。ここ3作くらいはそういう共通した色合いがありますね。

FUJI ROCK FESTIVAL 07
歌い方も変わってきたんですか? ボーカルもサウンドの一つとして、すごく馴染んでいると思います。
K:それはありますね。『APPLESEED』のサントラ以降、トライ&エラーを繰り返しながら、『ON』くらいで、なんとなく自分のなかで確立されてきて、今回のアルバムで掴みきったかもしれない。歌詞も、前はきっちり説明していく感じでした。でもそんなことしなくても、ビートとベースとコード感だけで表現されている、あのアジテート感やメッセージ性はすで表現されているので、僕がわざわざ説明するようなことなんて何ひとつないんです。音楽だし、フラッシュのように時間と一緒に流れていけばいい。
今回のアルバムの楽曲は、ライヴで一緒に歌えるな、と思いました。でも同時に、音響的な意味合いでのダンスミュージックが持っている快楽性もあると感じます。この2つの側面が、非常に高次元で融合しているなと。
N:ハウスをずっとやってきた人がロックバンドのプロデュースをやって、本当の意味でかっこいいダンサブルなロックを作るのはとても難しい作業だと思うんです。ただ(ダンスとロックを)くっつけるのは簡単なんですよ。だけどひとつの素晴らしい楽曲に昇華するのは、それなりに志を持ってやらないとできない。そういう意味では僕たちはずっとやってきているから、自然と自分たちで高いハードルを設定しているんだと思う。
K:もう、機械が安く売っているから、ちょっとバンドと一緒にやってみようよ、というレベルではすでにないですよね。

FUJI ROCK FESTIVAL 07
デビューして10年やり続けて、やっと辿り着いたところでもあると。
N:ベテランで、成熟している僕らが、例えば、ニューレイブとかの若いパッションを盛り込もうとしても無理がある。僕らはやはり歳の分だけ、若い連中には出せない魅力とか、完成度とか、音の強度とかを追求していくしかない。新しくて荒削りなものが持っている初期衝動のようなものは、逆にうらやましかったりしますよ。でもそれを追いかけてもしょうがないから。その割には、若い音楽やってますけどね(笑)
『EXPOSED』というタイトルは直訳すると、「むきだしの」「吹きさらしの」という意味ですが、どのような意志が込められているんですか?
K:ヒリヒリした感じ。快楽だけでなく、密度の濃い、闘争心を煽られるような辛辣なムードは、このアルバムに一貫して感じられると思います。皮膚感覚というか、全身神経というか。そういうイメージですね。
FUJI ROCK FESTIVAL 07
4THアルバムの『FULL OF ELEVATING PLEASURES』あたりが、サウンド的にロックっぽくなっていく転換期かと思っていますが、そこで何か大きなポイントがあったんですか?
N:その時期に、日本に引っ越してきたのも大きいですね。イギリスにいた時は、ダンスミュージックがすでに巨大なポップカルチャーだったんです。でも、僕はもうちょっと「レベルミュージック」として捉えていたから、落胆した気持ちもあって、それでヘビーでインナーに向かっていく作品を作っていった。でも、そういうヘビーなものを作っている時期は、精神的にも疲れるし、圧迫されるんです。だから結構ヘトヘトになって日本に帰ってきたという感じ。もう一度、音楽をフィジカルな部分で楽しみたいと考えたのかもしれませんね。だからここ2、3年は元気なんじゃないかな。でも、音楽を作るのに燃料として燃やしているものは、フラストレーションだったり、割りと負のものなんですよ。負からアップリフティングな音楽に繋げていくパイプが、自分のなかでできつつあるのかな。
負って具体的にはどんなものですか?
N:世界が、どうしたっていいムードには見えないですよね。気持ちいいものと気持ち悪いものでいったら、圧倒的に気持ち悪いものが多いと思うんですよ。でも、そういうイヤなものと付き合っていくのは、絶対的に必要なこと。そのなかで、音楽という道具を使って、自分も含めて、人をサポートするものができたらと。

FUJI ROCK FESTIVAL 07
デビューして10年になりますが、ブンブンサテライツはファンとともに歳を取るというより、逆により若い人が聴くような方向に近づいている。より衝動的になっている感じがします。そのテンションを保つのはスゴいですよね。
N:一緒に歳をとって、40歳、50歳になって、最後にはディナーショーみたいになっちゃうのってイヤだった(笑)。ミュージシャンとしての社会的な役割もどんどん小さくなっちゃうじゃないですか。やはり僕らは表現者だから、自分の中から生まれ出たものが、何万人、何十万人に伝わって良い作用を及ぼして、またその人たちが何か生んだりとかしてくれるのが本望だったり生き甲斐だったりする。そこはミュージシャンとして、まっとうしたいところなんですよね。
このアルバムを引っさげたライヴは、どんなものになりそうですか?
N:ハードコアな感じになるんじゃないかな。数段ハードになるから、体力がいると思いますね。だから鍛えて来い、と(笑)。


















