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70 年ニュージーランド生まれのデイヴィッド・デュバル=スミスと、66年イギリス生まれのマイケル・フランクによるグラフィック、映像、立体等を手掛けるクリエイティブユニット。グラフィックを中心に、ハードなゴスペルミュージックや大工仕事、ガーデニングなど、持ち前の遊び心を活かして幅広く活動している。
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東京ベースの生意気は、ニュージーランド出身のデイヴィッド・デュバル=スミスと、イギリス出身のマイケル・フランクからなるジャンルレス・デザインユニット。なかでも、チープなプラスチック・オブジェを用いたカラフルでサイケな作品は彼らのトレードマークだった。そんな生意気がプラスチックを離れ、今、植物や農業といったテーマに精力的に取り組んでいる。そこに秘められた意図、背景、そしてメッセージとは?
Text:山内真
まず、生意気のプロジェクトがどのように始まったか教えてください。
マイケル(以下M):何年も前の話だけど、2人でよく飲んでは夢を語り合っていたんだ。「いつか大きなデザインオフィスを作れるといいね」なんてさ。そんなとき、麻布十番の古くて安い物件を紹介してもらった。スゴく気に入って、すぐさま改装に取りかかり、デラックスと命名した。デラックスは徐々に人に知られ、心地よい空間になったよ。たしか97年か98年頃かな。僕とデイヴィッドは、ユーモアのセンスもデザインに対する考えも似ていたから、2人で何かを始めるのはスゴくスムーズだったんだ。
10年経った今はターニングポイントだと思うのですが、いかがでしょう?
M:僕らが今、植物やガーデニング、農業に取り組んでいることがまさにターニングポイントだと思う。3年前に森美術館で開催された『六本木クロッシング』に出した頃の作品を見ると、まるで他人が作ったかのように感じるんだ。

2000年の作品『gangoo』。100円ショップで仕入れた素材をもとに制作。
植物や農業を選んだ動機、その魅力とは何でしょう?
M:僕らはいつだって、他のクリエイターにとってクールじゃなかったり、または誰も目を向けないようなことをやろうとしてきたんだ。例えば100円ショップでチープな素材を買って制作するなんてのは、ハイエンド・デザインとはまるっきり反対のことだったしね。
デイヴィッド(以下D):プラスチックよりも、植物と作業する方が気持ちいいって気がついたんだ。あと、農業はすごくパンクでアナーキー(笑)! 工夫すればお金はかからないし、食物や生活用品の多くを得ることができる。ただ、今の農作物の多くはフェイク。ケミカルだらけで同作物を何度も育てるから土壌も痩せる。多種多様な作物のもとに虫や鳥が集まり、死骸や糞が肥料になる。そうしたシステムを作ることが大切。
M:田舎で自然のサイクルを作り、オフィスを構えて自給生活を送る。そんな生活を実現させる方法を僕らは考えているんだ。水と食料さえ手に入れば、わざわざ街に出てくる必要もないしね(笑)。実現には長い時間が必要だけど。
それは、ある種のコミューンのような環境でしょうか?
D:それ以上のものだね。僕らが目指すのは完全に孤立した環境ではなく、再び人々と繋がることだから。クリーンな環境ができれば人が訪れる。井戸から汲み上げた天然水で作ったアップルサイダーの販売もできる。ライブハウスやバーができれば心地よい空間が生まれる。目指すのは、“良きこと”を生み出し、維持していくためのビジネスシムテムなんだ。


今年の春に大阪のgraf media gmで開催された『KINKY MUFF LAND』の様子。本物のカマキリが紛れ込んで生活していたというハプニングも。
そういった発想はどのようにして出てきたのですか?
D:ビル・モリソンというオーストラリア人が提唱したパーマ・カルチャーと、愛媛県出身の福岡正信という自然農法の創始者にインスパイアされた。モリソンは、労働量を減らし、短期間でいかに多くの魚を育てられるか、ということを理論的に述べた人。福岡氏は、雑多な種を撒いて、後は自然に任せれば“食べられるジャングル”ができる、ということを説いた人なんだ。
M:一般的には、農業はキツい作業だと思われている。だけど福岡氏なんかは、「耕さず、ただ種を撒き、作物が育つのを眺めよ。その自然のネットワークシステムを邪魔してはいけない」と言っている。彼は100種類以上の種を集めて粘土に練り込み団子状にしたシード・ボールを考案したんだ。それを土地にばら撒くと、その環境と時期に適した種が育つというわけ。興味深いのは、これは自然そのものによる、ある環境に最も適したデザインだということ。
とはいえ、東京でそのような農業をやるには、場所の問題があったりしませんか?
D:そんなことはないよ! 例えば、ハバナは都市農業の実践に成功しているんだ。街中の空きスペースを活かした有機農業で自給できているんだよ。東京はコンクリートだらけだけど、まだまだ活かせるスペースは山ほどある!
M:大都市の生活において50年から100年の間に大きな変化が起こることは間違いないね。あるポイントで石油が枯渇し、人々の生活や意識も確実に変化する。この先、何が起きてどうなるんだろうって僕らはいつも気にかけている。そしてその時に何ができるか。僕らの活動はその実験、フューチャーモデルみたいなもの。


生意気の2人。上の写真がデイヴィッド、下がマイケル。
ガーデニング作品の植物の配置などは、実際の自然を参考にしているのでしょうか?
M:そうだね。森に入り、そこで起きていることを観察して学ぶことが必要。モデルは常に自然の中に存在しているんだ。
D:だけど今の化学的な農業は完全に自然を無視している。ある大手化学メーカーは、ラウンドアップという除草剤と、それに耐性をもつ遺伝子組組み換えの作物をセットで販売している。そのおかげで中米辺りの作物に汚染が広がっているんだ。
例えば、アメリカのアイオワ州は米国有数の農業州で、一見、豊かな畑が広がっていますが、実際は土壌汚染が酷いみたいです。
M:まったくだよ。本来の意味での農業が全く機能してないのはすごく嘆かわしいね。象徴的なのは、今、多くの農地から蜂が消えているんだ。アメリカでは、たった9ヶ月間で約40パーセントの蜂が姿を消した。そして誰もその理由が分からない。昔、アインシュタインがこう言ったんだ。「地球上から蜂が消えたとき、人類はあと3年しか生きられないだろう」って。僕らは既にあらゆる問題に直面している。その理由について真剣に向き合わなければならないし、忘れるべきではない。だから僕らは、商業的な仕事でも、植物を扱うことにしている。環境への意識や関心が広まっていくといいからね。物事は僕らが感じているよりもずっと速いスピードで変化しているから。


日本のクリスタルメーカーHOYAとのプロジェクト。生意気のクリエイティビティがいかんなく発揮された企画。
植物を扱った展示会では、メンテナンスはどうしているのですか?
M:例えば、grafとのプロジェクトで、ビルのバルコニーに大きな庭を作ったんだけど、そこに来る人たちがやってくれるんだよね。作業をしていると思わず、楽しんでやってくれる。植物の成長も見えるからね。本当は植物、虫、動物の連鎖で成り立つメンテナンス・システムがいいんだ。いかに人為的なメンテナンス作業をゼロにするかがポイント。
D:農業で理想なのは、土地の上層部と下層部で見られる自然活動のボリュームが同じである状態。特に昆虫や微生物の活動は豊かな緑には欠かせないんだ。澄んだ水もそれらがあってできあがる。

豊かな緑のためには豊かな土壌が必要ということですね。その関係は、僕たちの生活環境のメタファーにもなると思います。
M:そう、僕らの生活そのものだね。より良いクリエイションのためにはより良い土壌が必要。しかも、それが自律的に機能していることだね。
D:土壌が土壌を作るってこと。キノコを形成する菌は象徴的で、細胞を壊したり再構築する働きがある。菌によって土壌は浄化されるし、人体の傷も菌によって治療可能だよね。そういう意味でも、土壌は驚くべき可能性を秘めた1つのプログラムなんだ。
M:土を触り、自然を観察し、そのシステムを学べ、ってことだね。
D:そう、豊かな生活も本当の意味での“ラグジュアリー”もそこに存在するんだ。


























