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2000年にギャラリーTRAXでの個展「NPEAKER」を初写真集としてアートビート・パブリッシャーズより出版。CDや雑誌など多方面で活躍しながら西新宿のレコードショップLOS APSON?やmagical art room、magic room、NYのjournal Galleryなどでの展示や自主制作の作品集を出すなど多方面で活動している。 Contact 塩田正幸 E-Mail : sio@sun.email.ne.jp |
無造作に佇む友人たちや、身のまわりの何気ない風景。写真家・塩田正幸が写し出すイメージは、湿度の低い空気の中、乾いた硬質の音が響きだすかのようなアンダーグラウンドの雰囲気を色濃く感じさせるものだ。しかし、自らの素直な感情の動きで撮られた作品は、決して彼の世界の中だけで完結しているものではない。ギャラリーPUNCTUMや magical ART ROOM、レコードショップ LOS APSON?での展示、画家の五木田智央と共著による新聞サイズのアートブックや自主制作の作品集出版など、独自のスタンスで活動を展開している彼に話を聞いた。
Text : 稲本恵理
写真を始めた時は、どういうものを撮りたいと思っていたのですか?
音楽や雑誌が好きで、レコードジャケットなどを作りたいと思っていたことがきっかけです。デザインも勉強していたけど、レコードジャケットの場合はいい絵が一枚あれば十分だから、それなら写真の方が早いと思った。特定の被写体を撮りたくて写真を始めたわけではないし、今でも撮るものに対してこだわりはないです。
確かに、こだわりといった束縛からは遠く離れた感じがしますね。
写真ってわりと被写体で区別しがちだけど、僕はそういうのが嫌いで。ニューヨークっていうタイトルのニューヨークの景色ばかりの写真集とか、そのまんまじゃないかって思う。受け手側に自由がない。写真集には特にそういうものが多くて、それが昔から苦手です。


(左)『ンピーカー』(2002/アートビート・パブリッシャーズ)、(右)『DOGOOHAIR』(2004)
塩田さんの写真を通した視線の先に何があるのかが、つかめそうでつかめない。混乱さえしてくるのですが、ご自身ではどう思われていますか?
見てくれる人がそういう風に色々と悩んでくれた方が嬉しいかもしれない。自分でも全てわかったうえで写真を撮っているわけではないし、そこを追求しようとは思わない。全てをコントロールすることなんてできないし、自分が想像した物しか出来なかったらつまらないでしょう。
あえて言うと、どういう時に撮りたいと思うのですか?
びっくりして、「わー!」って思った時。「格好良い!」とか「何だろう?」とか、色々な意味で驚きを感じた時ですね。そのショックが大きければ大きいほど、いい写真が撮れる。

『LIFE HUNTER』(2005)より
作品を見た人からは、どんな反応を受けることが多いですか?
音楽に例えられることが多いかな。写真を始めたころはフリージャズっぽいとか、今はノイズっぽいとか言われますね。写真はスゴく具象的なものなのに、言葉で具体的に形容されるのではなく、抽象的な音楽で捉えてもらえるのは嬉しいです。
抽象的ではあるけれど、写真が内に向かって自分の中でだけ完結している感じはないですね。
意図的にそうしているかもしれません。写真に限らず、ものを作るというのは自分の世界を追求していくことだから、基本的には内に向かっていると思うけど、それを作り上げただけではまだ作品として成り立っていない。人に見せて初めて成り立つものだから。そこが重要だと思うんですよ。自分にとっていい作品を作るのは純粋な意味でもちろん大切。だけど、誤解を恐れずに言うと、それを人に見せた瞬間に初めて「芸術」になる。人との関係が生まれて、社会に存在するものになる。そう考え始めてから、あまり内に向かっていない写真になってきたと思います。
そこに気づいてから変化があったわけですね。
人に見せることで反応があって、こうやって今まで知らなかった人が取材に来てくれたりもする。写真そのものは変わらないけど、確実に何かが変わっている。誰にも見せていなかったら、ただの個人のアルバムにすぎないですからね。

西新宿のレコードショップLOS APSON?で展示された『DOGOO HAIR』の様子。
では、塩田さんはどういうものを見て、反応したり影響を受けることが多いのですか?
何からでも影響を受けるし、できるだけ受けたい。素直にやっていくだけ。
これまで見てきた中で最も衝撃を受けた写真は何ですか?
03年に横浜美術館で行われた 中平卓馬の「原点復帰—横浜」展です。学生の時に『来るべき言葉のために』を見ていて、その本の装丁や内容にショックを受けていました。普段、写真展にはほとんど行かない自分がその展覧会には久々に行ったのですが、展示会場に入った瞬間に冷や汗が出てきてすぐに帰ってしまった。
何を感じ取っていたのでしょうか?
ある種の重みのある作品には、触れてはいけないと思うような感覚があるじゃないですか。それよりもっと上の感じで、いい意味で見てもいけない、その場にいてもいけない、とりあえずいったん家に帰ろうって思ったんです(笑)。結局、翌日にもう一回見に行ったんですけど、あの展覧会にはそれぐらいのショックを受けました。

『LIFE HUNTER』(2005)より
塩田さんは普段からカメラを持ち歩いていることが多いのですか?
最近は意識的にそうしていて、コンパクトカメラを持ち歩いています。枚数はわりと撮る方だけど、最初の1枚目が良いことが多いですね。
現在、進行中のプロジェクトはありますか?
FLASH BOOKSという自主制作のレーベルで全4号のシリーズを作っていて、今は3号目に取り掛かっているところです。写真の上に自分で絵をつけて、コピーをして作っています。紙や本などのものが好きで、触っている感じも好きですね。
最後に、これから新たに挑戦したいことを教えてください。
良い写真が撮れればそれだけで十分。それしか考えていません。何が良い写真かはわからないけど、わからないから続けるんです。




(左上)『PHOTONARCHIC』,(右上)『PHOTONARCHIC2』
(左下)『LIFE HUNTER』,(右下)『LUMEN#01 - GREY SCALE/Tomoo Gokita | DOGOO HAIR / Masayuki Shioda』(2006/アートビート・パブリッシャーズ)





















