ラッパーECDと写真家植本一子の結婚・出産までをリアルタイムで綴った人気連載「WE ARE ECD+1」より約1年。ECDの新連載がスタート!!
今回は、ECDの休日限定ダイアリー。知られざる彼の休日を、日記形式でお届けしていきます。
Text:ECD
3月29日(月) 曇
9時開店の床屋に一番で。帰りに自分の50歳の誕生日のケーキを買って帰る。
まだ昼まで時間があったので、家族でドンキ。レジに並んだところで妻が貧血を訴える。動けないのでタクシーを拾う。妻はものも言わずに後部座席に倒れ込む。運転手さんは嫌な顔ひとつしないで、ベビーカーをトランクに入れるのを手伝ってくれた。「どうなさったんですか」などと詮索することも一切ない。ありがたかった。
家に帰っても妻の具合はよくならない。夜はU.F.O.CLUBでライブだったが、リハーサルが4時からで本番は10時過ぎと時間が空くのでその間うちに戻ることにした。風呂からあがってすぐにU.F.O.CLUBに戻るため外に出たのだが、震えがくるほど夜風が冷たかった。
3月30日(火) 晴れ
午前中ひとりでドンキに衣装ケースを買いに行く途中、iPodで聞いたMINTの新曲『Yeahでごまかしてる』にちょっと泣き、ひさしぶりの青空を見上げた。
4月1日(木) 晴れ
猫が引っ掻いたあとを娘が剥がすので、うちのふすまはボロボロの骨だけになっていた。このあいだ貼り直しに出していたふすま8枚が、今日すっかりキレイになって戻って来た。ついでに散らかり放題だった自分の部屋も片付けた。
4月7日(水) 雨
6時前に目が覚めてしまう。そのまま起きて、時間がなくてできなかったフリー音源のダウンロードに精を出す。「ダウンロードは仕事じゃない」と誰かがつぶやいていたけど、そう言いたくなる気持ちはわかる。音楽でお金を作る身の上からすると、データのアップロードやダウンロードは制作の過程で避けられない仕事である。うちで録音した曲をアップロードして、坪井くんに送ってMIXしてもらう。出来上がりを送り返してもらって、ダウンロードして確認する。そうやってCDができて、それが金になる。無料の音源を聴くためとはいえ、ダウンロードは仕事、しかもタダ働きという感は否めない。PDFをダウンロードして読む雑誌もあるけれど、これも読むだけで仕事みたいな感じがある。僕はこれまで仕事で原稿の校正をする時以外にPDFを開けることなどなかった。タダで手に入るものが増え、タダ働きを強いられることが増える。無料音源について、送り手のタダ働きについての議論はあるけど、受け手のタダ働きについてはあまり問題になっていない。
4月8日(木) 晴れ
そんなことを考えていたところに妻が僕の分も一緒に携帯をiPhoneに変えてしまった。一日その対応に追われる。変えるのにお金はかからなかった。そのかわりにタダ働き。ストレス。
4月9日(金) 曇
小岩BUSHBASHでライブ。対バンはヤングサウンズ、2マッチクルー、RUMI、ラウンジのDJは松永さん。ここのところ、初めて自分たちを観る人ばかりの前で演ることが多かったのだが今日は違う。集まるだろう人たちの顔まで浮かぶ。実際その通りだった。
Posted by:ECD
60年生まれ。ラッパー。本名石田義則。ファイナルジャンキー主催。 96年に、日比谷野外音楽堂で開催された伝説的なHIPHOPイベント「さんぴんCAMP」を主催したジャパニーズヒップホップのオリジネーター。アルコール中毒に悩まされた時期もあったが、今では立ち直り警備員をしながら音楽活動を続けている。『ECDIARY』(レディメイド・インターナショナル)『失点イン・ザ・パーク』(太田出版)などの文筆活動を始め、音楽活動以外でもその才能を発揮している。











