ラッパーECDと写真家植本一子の結婚・出産までをリアルタイムで綴った人気連載「WE ARE ECD+1」より約1年。いよいよECDの新連載がスタートします!!
今回は、ECDの休日限定ダイアリー。知られざる彼の休日を、日記形式でお届けしていきます。
Text:ECD
2月1日(月) 曇
仕事休み。 朝6時前にトイレで起きたら目が冴えてしまい、二度寝ができずひまつぶしに携帯で妻のツイッターをチェック。4時間前の投稿で僕の寝言のことが書かれている。「呪ってやる〜」などと言ったらしい。そういえば、何か嫌な夢を見たような気もするが、内容は全く思い出せない。
やがて窓の外が明るくなってきたと思うとその窓の外、ちょうどエアコンのあたりから鳥の囀りが聞こえる。それこそエアコンの中にでもいるんじゃないかと思うほど声が近い。
明るくなった部屋を見渡す。押し入れのフスマの上とカーテンレールには部屋干しの洗濯物。その半分は娘の服だ。妻も娘もまだ起きる様子はない。それで携帯でこれを書いている。今日は仕事は休みだけれど、ふたりが起きればこんなことはしていられない。
この連載を休日限定の日記にしようと思い付いたのも、少し前にやはり夜中に目が覚めしばらく眠れなかった時のことだった。休日なら家族と一緒に出掛けたりライブがあったりと日記のネタになることも多い。名案だと思った。
けれど、休みの日には肝心の書く時間がない。それを忘れていた。
2月8日(月) 晴れ
仕事休み。8日ぶりの休日。しかもこれといって予定はない。こんな日も珍しい。
7時過ぎに目を覚ますと、妻ももう起きていて、トイレに立ったかと思うと昨日寝る前に回した洗濯機からかごに入れた洗濯物を持ってきて、「洗濯物がありますよ」と枕元に置く。僕は布団から出て洗濯物を干す。
妻は台所で朝食の支度を始めたようだ。今日で1歳3ヶ月になる娘も目を覚ます。テレビをつけ、平日のこの時間は毎日幼児向け番組を放映している3チャンネルに合わせる。
8時半には家族3人で朝食。仕事のある日は、妻も娘も寝ているうちにひとりで朝食を摂って出かけることが多いので、たまに揃って摂る朝食はそれだけでうれしい。
今日は、妻は友人に車を出してもらってIKEAに娘の食事用のテーブル付きのベビーチェアを買いに行く。10時に来るはずだった友人が来たのは11時。
妻を送り出してしばらくすると、娘が指をくわえて眠そうにしているので添い寝して寝入るのを待つ。隣の部屋の日溜まりでは、3匹の猫たちも揃って気持ち良さそうに寝ている。
娘は横にはなっても目は開けたままで30分が経過。とにかく寝てくれないと何もできないのでひたすら待つ。
やっと寝入ったのを確認して、ライブのための個人練習。あと2曲というところでもう娘が起きたらしく、声が聞こえる。練習は中断して昼食の支度。もう少し寝ていてくれたら階段の掃除もできたのだがしかたがない。
階段の掃除は、それをすることで大家から管理費三千円を免除してもらっているのでさぼるわけにはいかない。それなのに今月に入ってまだ一度もしていない。
昼食、その片付け、気づくともう2時。暖かいうちにと娘と外出。
大原公園は今日が初めて。広くてきれい。娘は会う人会う人に近づいて愛想を振りまく。その度に僕も「おいくつですか」などと尋ねられる。知らない人と言葉を交わすことが娘と一緒だと当たり前のことになる。
1時間たっぷり遊んで帰ると、妻も帰宅したところ。買ってきたベビーチェアを組み立て。娘を座らせて写真を撮る妻。と思ったらちょっと寝るというので、娘は妻にまかせて今度はひとりで外出。
新宿タワレコ。妻からメールで頼まれた「めぐリズム」なるものをサンドラッグで購入して帰宅。
作業部屋で探し物をしていると「くらし、なに、なにしてるの? 石田さん、来て、大変!」とただごとでない悲鳴。あわてて様子を見に行くと、畳一面に判子で押したような赤い跡。娘はにこにこして歩き回っているので最初はそれが血の跡だとは思わなかった。だけど抱きかかえて足の裏を見ると右足の裏、小指の付け根あたりからどくどく血が吹き出している。ティッシュで拭いても拭いても止まらない。どうも妻が目を離しているすきに、娘がタンスの上にあったマニキュアの瓶を落とし、割れた破片を踏んだらしい。
夕食の席に着いたころにはなんとか血は止まったものの今日は風呂には入れない事にして、着替えのついでにからだを拭いてやるともう娘は眠ってしまった。妻と僕も入浴して就寝。一時はどうなることかと思った。
Posted by:ECD
60年生まれ。ラッパー。本名石田義則。ファイナルジャンキー主催。 96年に、日比谷野外音楽堂で開催された伝説的なHIPHOPイベント「さんぴんCAMP」を主催したジャパニーズヒップホップのオリジネーター。アルコール中毒に悩まされた時期もあったが、今では立ち直り警備員をしながら音楽活動を続けている。『ECDIARY』(レディメイド・インターナショナル)『失点イン・ザ・パーク』(太田出版)などの文筆活動を始め、音楽活動以外でもその才能を発揮している。












