Public/image.LABELと親交のある4組のクリエイターたちが、Adobe Creative Suite 4を使った作品を制作。そのワークフローを追う短期連載企画。
AdobeとPublic/image.LABELが共催するカンファレンスイベント
「Public/image.METHOD(パブリックイメージ・メソッド)」が、5月16日に六本木ベルサールで開催されます。それに先立ち、「Public-image.org」では、Adobeとのコラボレーションによる短期連載企画を展開中です。
今回は、「Public/image.METHOD」のアフターパーティ会場に展示されるポスターを、『Adobe CS 4 Design Premium』 で制作してくれたグラフィックデザイナー井口弘史氏が登場。井口氏とAdobe製品との関係、そして、今回のポスターデザインについて聞いてきました。
まずは、Adobe製品との出会いについて教えてください。
井口:確か「Illustrator 5.0」の頃なので、93年くらいのことだと思います。当時は、マッキントッシュの存在などは何となく知っていたのですが、実際にそれを使って何かを作るということはしたことがなくて。そんなある時に、知人が実際にIllustratorを使って作業しているところを見る機会があり、その工程が想像とまったく違って驚いたんです。今からすると、とても単純なことなのですが、単に十字架を描くにしても、ペンだったら輪郭線を時計回りとかで描くわけですが、Illustratorの場合、長方形を2つ重ねて十字架の形を作ったりしますよね。そういう感覚が自分の中にまったくなかったので、とても衝撃を受けた記憶があります。周りの人に比べると、スゴく遅かったとは思うんですけど(笑)。
その後すぐに自分でも使うようになったのですか?
井口:そうですね。目の前でその作業を見て、慌ててIllustratorとPhotoshopを購入しました(笑)。それまではレタリングなどでも、自分で輪郭線を引いて、その中を塗り潰すという作業をしていたので、とにかく簡単に線が引けるということが気持ち良くて、それを活かしたような作品ばかりたくさん作っていた記憶があります(笑)。あと、単純なことなんですが、いくら拡大しても滑らかなままのベジェ曲線なんかにスゴくビックリしていましたね。
現在も主に使われているソフトはIllustratorとPhotoshopですか?
井口:はい。IllustratorとPhotoshopを連携して使うことが多いですね。作業の流れとしては、白紙にシャープペンで手描きをし、それをスキャナーで読み込み、その後IllustratorやPhotoshopで調整していくというやり方が基本です。場合によっては、Illustratorの新規画面にいきなりマウスを使って描いていくこともありますね。

井口さんにとって、Adobe製品はどのような存在ですか?
井口:Adobeのアプリケーションを立ち上げる時に、開発者の方たちの名前が出てきますよね。あれを見て、いつも心の中で「スゴいなー」と思っているんですが、結局僕らはAdobeのプログラマーの方たちが考えた枠の中でデザインをしているというのが前提にあると思うんです。その中で、楽しい遊び方や、開発者が意図しなかったような使い方を考えて、いかに見たことのない表現ができるかということを模索している感じです。自分にとっては、いくらやっても攻略し尽くせないゲームのようなところがあって、それを楽しむことができるからこそ、ずっと使っているのだと思います。
アプリケーションがバージョンアップされる度に、新機能がどんどん追加されていくわけですが、そうした新機能とご自身の表現の関係性をどのように考えていますか?
井口:実は、自分が今やっている作業の根本的なところというのは、初めて触れた「Illustrator5.0」の時から変わらないものだったりします。ただ、もともと自分の中にある感覚と、アプリケーションの新機能やコンピュータのスペックといった外側の要素というのは、常にリンクしていくべきだとも思っています。やっぱり新しい機能が出てくることで、作業にも新しい楽しさが生まれたりするんですよね。
Adobe製品の機能から作品のイメージを発想していくこともありますか?
井口:大いにありますね。例えば、Photoshopなどでも、AとBの機能を組み合わせた自分だけのエフェクトを作って、それをいつでも使えるように随時ストックしています。それは、ミュージシャンがドラムパターンをサンプリングするとか、ファッションデザイナーが参考生地を集めるような感覚に近いかもしれません。要は、与えられた機能をいかに独特に使うことができるかが大事だと思うし、そういうことをやっている人に共感できますね。例えば、鉛筆というのは、紙の上に顔料を定着させるという意味では機能はひとつと言えますが、結局は何を描くかによって変わっていきますよね。PhotoshopやIllustratorでもそれは同じことで、自分なりの方法を見つけた時に「やった!」と思えるんです。


そのような機能の使い方をされた過去の作品があれば教えてください。
井口:少し昔のものになってしまうのですが、分かりやすい例として、Photoshopの使い方を模索しながら生まれた作品を紹介します。これを作った当時は、デザイナーズリパブリックなどが、Illustratorで作ったフラットなパーツを用いて、空間的な広がりを感じられるような作品をで作っていて、そういう表現がひとつの定番になりつつあったのですが、そんな時にあえてPhotoshopを使って、空間を表現できないかなと考えていたんです(笑)。
具体的にはどのような作業をされているのですか?
井口:Illustratorで作った素材をPhotoshopに持ってきて、エアブラシのエフェクトをかけています。その際に、選択範囲を細かく指定し、特定の箇所だけにエフェクトをかけているのですが、そうしたレイヤーが何枚も重なっているんです。実際のエアブラシでも、紙に穴を開けて、特定の箇所だけにフワッとした質感を出すということをやるのですが、そうしたエアブラシ本来の手法をPhotoshopで再現してみました。何かやりたい表現があった時に、何かしらの方法が必ず見つかるということが、PhotoshopやIllustoratorのスゴいところなんだと思います。


非常に細かく選択範囲を指定し、まるで絵を描くような繊細な感覚でエアブラシのエフェクトを使いこなしている。作品データは、60枚以上のレイヤーから成っているという。
最後に、「Adobe CS 4 Design Premium」を用いて制作して頂いた「Public/image.METHOD」アフターパーティ用のポスターのデザインについて聞かせてください。
井口:今回はイベントのポスターということもあり、Illustrator CS4で強化されたグラデーションツールを使って、タイポグラフィを作りました。そもそもグラデーションというのは、数値だけで考えられるものでもないと思うので、今回のアップデートでより感覚的にグラデーションツールを使えるようになったことはスゴく良いことだと思いますし、作業工程もかなり快適になりました。グラデーションだけで構成されているようなタイポグラフィ作りを目指した作品です。


進化したグラデーション設定Illustrator CS4では、角度や位置、楕円サイズを設定し、スライダーでカラーを追加・編集すると、瞬時に結果が反映されるなど、オブジェクトに対するグラデーションをより自在かつ直感的にコントロールできるようになっている。井口氏制作によるイベントポスターは、5月16日に開催される 「Public/image.METHOD」のイベント会場で展示予定。また、フライヤーのデザインはこちらからご覧になれます。拡大画像はこちら。

Artist Profile井口弘史1973年愛知県生まれ。グラフィック・チームILLDOZERを経て、2001年より自身の作品制作を主とするプロジェクトTHE BWOYとしての活動をスタートさせる。音楽、ファッション、書籍などを中心に様々なメディアにおいてグラフィックを発表する。先日、自身初となる作品集『CULT JAM』をBARTSよりリリースした。

InformationAdobe Creative Suite 4
Design Premium 製品構成:InDesign CS4/Photoshop CS4 Extended/Illustrator CS4/Flash CS4 Professional/Dreamweaver CS4/Fireworks CS4/Acrobat 9 Pro/Adobe Bridge CS4/Adobe Device Central CS4/Version Cue CS4More Info:Click here












