Public/image.LABELと親交のある4組のクリエイターたちが、Adobe Creative Suite 4を使った作品を制作。そのワークフローを追う短期連載企画。
AdobeとPublic/image.LABELが共催するカンファレンスイベント
「Public/image.METHOD(パブリックイメージ・メソッド)」が、5月16日に六本木ベルサールで開催決定!! それに先立ち、「Public/image.org」では、Adobeとのコラボレーションによる短期連載企画を展開中です。
今回は、ファッション、音楽を中心に幅広い活動を展開するフォトグラファー太田好治氏が、Adobe Photoshop CS4 Extendedを使った作品事例を紹介してくれます。実際の撮影の現場で、この最新ツールはどのように使われているのでしょうか?

太田さんはすでにCS4を使われているということですが、特に役に立っている機能があれば教えてください。
太田:先日、AW kitchenが商品開発した「農園バーニャカウダ」の撮影をしたのですが、その時に「レイヤーを自動整列」という機能が役に立ちました。このような商品撮影の場合、普通に撮影しただけでは、レンズの構造上パンフォーカスで合わせるということができないんです。そのため、同じポジションで焦点距離をズラした写真を撮影し、後で合成するという作業を行っています。今回は、「野菜」「パッケージ」「背景」それぞれに焦点を合わせた3つのカットを撮影、合成したのですが、その際にこの「レイヤーを自動整列」を使うことで、作業効率が格段に高まりました。

AW kitchen「農園バーニャカウダ」CS4で強化された「レイヤーを自動整列」を使うと、独自の画像解析技術によって、各カットの焦点の合っている部分だけを自動的に合成してくれる。
この機能が追加される前は、こうした商品撮影をする場合、どのように作業されていたのですか?
太田:合成作業をすべてレイヤーを少しづつ移動、拡大縮小をかさねて行っていました。同じカメラ位置で撮影をしても、少しずつピントをズラして撮るので、各カットの被写体の大きさが微妙に変わってしまうんです。その調整などを細かくしていかなくてはならず、とても時間のかかる作業だったのですが、CS4ではそれを自動で行ってくれるので、だいぶ楽になりましたね。また、このようなブツ撮影をする場合、以前であれば、ピントを得るためにライトをいくつも立てて、大判カメラを使ってワンカットで撮影するという方法も多かったと思うんです。でも、この機能が使えるようになったことで、後で簡単に合成できるようになったため、少ない光量での撮影が可能になり、予算もかなり押さえられるようになったと思います。

合成前のオリジナルデータ。




細部をよく見てみると、1ヶ所にしかピントが合っていないことがわかる。


こちらは合成後の写真のディテール。すべての被写体に焦点が合っている。
太田:この「レイヤーを自動整列」の機能を使い、パノラマ合成をした作品もあります。通常、このような撮影の場合は、広角レンズを使ってパンフォーカスで撮ることが多いと思うのですが、この時は標準レンズで、同位置からカメラのフリを変えた2つのカットを撮影し、それをパノラマ合成しました。

「Dramatic Life」 CDジャケット
広角レンズで撮影をしなかった理由を教えてください。
太田:標準レンズで撮影した方がシャープな仕上がりになります。広角レンズだと少しボヤけた感じになってしまうんです。ただ、レンズというのは湾曲しているものなので、2つのカットを合成するとなると、どうしてもパースがズレたりするんです。でも、この「レイヤーを自動整列」を使えば、簡単にほぼ完璧な合成をしてくます。


合成前のオリジナルデータ



「レイヤーを自動整列」機能を使うことで、細かい設定をすることなく、簡単にパノラマ合成をすることができる。
太田:同じ手法でライブ写真を撮影したこともあります。ライブの写真でこういう合成をする人はあまりいないと思うのですが(笑)。先ほども話しましたけど、広角レンズで撮るとライブ感は出るのですが、どうしてもシャープネスが失われるところがあるんです。広告やポスターなどで使う場合は、やはりシャープな写真の方が存在感が伝わるし、パノラマにすることでトリミングの自由度も高まりますからね。
先日も話されていたように、Photoshopの機能ありきで撮影に臨まれることがかなり多いようですね。
太田:そうですね。画を伸ばすことを前提に撮影するという考え方ですよね。一方で、これは現場で撮影をしているうちにアイデアを思いついた作品なのですが、フリーマガジン『FLJ』で撮影したBACK DROP BOMBの写真も面白いと思います。このエフェクトはすべて、当日撮影したアザーカットが元になっていて、それをPhotoshopで加工しているんです。3Dや動画のような雰囲気が上手く出せたかなと思っています。


アザーカットを元に作成したエフェクトを、細かくレイヤー分けし、重ねていく。

撮影は編集部のオフィスで行われたという。スペース上の問題もあり、撮影はメンバーごとに個別に行い、それを合成している。

完成写真(『FLJ』#5より。)
最後に、Photoshop CS4 Extendedの新機能で今後使ってみたいと考えているものがあれば教えてください。
太田:オンラインで作業を共有できる「スクリーンを共有」という機能を使ってみたいと思っています。つい先日、アシスタントがMacを買ったので、そっちにもCS4を入れて、早速試してみようと思っています。今はまだレタッチャーがCS3を使っているのですが、その辺もみんなCS4に対応してくれば、さらに便利になっていきそうですよね。

Artist Profile太田好治1980年宮城県生まれ。日本映画学校を卒業後、代官山スタジオを経て2005年独立。主にCDジャケット、雑誌、広告の分野で活動している。
http://www.yoshiharuota.com

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