おつかれちゃんです。NYAAAです。
過ぎ去った夏を惜しんで・・・第3回目は秋の大放出SPECIAL! GUESTは泣く子も黙るシティ・ボーイ、CRYSTAL(Traks Boys)をお迎えして、「アーベインとは何か?」についてアカデミックに考察していこうと思います。泣くごはいねーがー!?
Text:りあるごーるど$
Artwork:NA2ME&菱沼彩子
CRYSTALくんのDJネームの由来が田中康夫の「なんとなくクリスタル」から来ているという都市伝説があるのですが・・・?
都市伝説(笑)!・・・っていうか本当だから。
最近のヤングは田中康夫先生も「なんとなくクリスタル」も知らないと思うので、ひとつ解説をお願いします(笑)。
「なんとなくクリスタル」は田中康夫の処女作で芥川賞を受賞した小説です。「たまらなく、アーベイン」という本も書いていました。
田中先生は今でこそ政治家だけど、昔は高等遊民的な文化人だったんだよね。
アダルトビデオ的な作品に出演してたらしいよ。男優としてではないんだけどね。
アダルトビデオ? アダルトなトレンディ・ビデオ(笑)?
何かの雑誌で読んだんだよね。どっちだろう(笑)?
まぁそれはいいとして(笑)、CRYSTALくんがアーベインなものに惹かれるのはどうして?
それが自分の中でもよく理由付けされていないんだよね。今日、話すうちに見つかればいいなと思ってるんだけど。
私も同年代だからちょっと考えるところがあるんだけど、思うに子供の頃にメディアの洗礼を受けたわけでしょ? 当時80年代カルチャーのどツボの時期で、そのなかの一つに「アーベイン」という概念があったんだよね。
そうだね、あったね。その中でどうして「アーベイン」に惹かれるのかはわからないんだけど、とりあえず、わたせせいぞうの「ハートカクテル」は全8巻、全部持ってるよ(笑)。
(笑)。なんで集め始めたの?
BOOK OFFで100円であったんだよね。山下達郎とか大瀧詠一とかのジャケットのイラストのアートワークに合い通じるものがあって、それでなんとなく集め始めたのがきっかけ。
なるほどね。
「ハートカクテル」ってうちらの年代(20代後半〜30歳前後)だとOKなんだけど、それより少し上の世代になると途端に嫌悪されるというか、悪く言われがちだよね。

artwork by NA2ME
確かに。スチャダラパーの往年の名曲「N.I.C.E GUY」でも♪ハートカクテル/みんな読んでる/狂ってる〜♪ってリリックが出てきましたね。
そうそう。俺とかは、そういう感覚を通り越して普通に感動しちゃったりするんだけどね(笑)。光JもわたせせいぞうをVJネタで使ってたりするけど、彼らも同年代だし。やっぱり下の世代になると先入観なしに見れるのかもね。
ダサいと思いつつ、逆に好きかも・・・な感じ?
一周回って普通に好きです(笑)。
わたせ作品に出てくるキャラクターはみんな鼻とかアゴとかが “シュッ”となってるよね。
昔の絵柄は若干違うんだよね。昔のは、ほんとガロに載ってそうな絵で、女の人の顔が全部真っ白だったりしてて(笑)。
アウトサイダーアート(←失礼!)みたいでアツいですね!
手前にあるはずの信号がでかくてめちゃくちゃサイケデリックな構図になってたりとか・・・いきなり凄いコマがあったり、唐突過ぎるオチにびっくりしたりとか(笑)。
ちなみに、「ハートカクテル」から学んだこと、読んで役に立ったことは何かありますか?
うーん。役には立たないけど、ここに出てくるような生活はできないということがわかった、ということに意味があるかな。フローリングの部屋で電話をじか置きしてるような生活・・・あれは無理です。
何なんでしょうね、あれ? 夢? 目標? 生活臭がしないよね。
うーん自分の中でまだ答えが出せていないなぁ。なんだろう?
まぁ、わかってることは糞尿や汚わいの類、グロいセックスシーンは出てこないってことですよね(笑)。逆にこういう(ある意味)突き抜けた表現って、今はないよね?
たしかに。まぁ、あたりまえかもしれないけれど、みんな現実に戻った感じがするよね。
わたせ先生のサイトを見たら、最近の絵でも筆致がぜんぜん変わってなくて。
もしかしたらバブルとか関係ないんじゃない? 一貫してるよね。アタマの真ん中が一生バブルというか。わたせ先生自身が「ハートカクテル」の世界から抜け出たような人なんだよね。

artwork by Ayako Hishinuma
「ハートカクテル」の勝手なイメージだけど、“ブティックでたくさんお買い物して大荷物抱えたおっちょこちょいな彼女がつまずいてオットット!”みたいな超・消費快楽至上主義的なシーンが浮かぶんだけど。
そうだね。でも意外と慎ましい生活をしていたりもするんだよ。出てくる登場人物はみんなきちんと社会人として立派に働いていて、身なりもちゃんとしいてるんだよね。破天荒な人は出てこないというか。
アフターファイブは遊ぶぞ! 的なバブルっぽいシーンは?
そういうディスコ的なところは一切出てこない。普通の都市生活を営んでいる普通の人。古きよき時代に憧れてビーチ・ボーイズを聴いてるかんじ。
六大学出身の社会人2年目の感じ? 多分慶応でしょ?
いや、立教だよ。
学習院かも?
青山学院大学でしょ?
女子は間違いなく青学女子短大だよね。つーかこの人たち、肉食べなそうだよね。サラダとフルーツばっかり食ってそう。
あ、だからあごが“シュッ”としてるんだ(笑)。
わたせ先生のエバーグリーン感は今で言えばロハス的なものに当てはまるんだと思うんだけど、この時代のこの世界だと「消費」というのが前提にあって、地球に良いことを一切していないというところが潔良いよね。
そうだね。慎ましいけど、買い物とかはするよね。・・・というか「ハートカクテル」ってそもそも誰が読むんだろうね? 間違いなく東京の人は読めないよね。俺は田中康夫と同じく長野県出身の地方出身者だから読めるんだけどさ。
そうだね。田舎の人の都会への憧れかぁ・・・。
東京の人はリアルな都会生活を知っているからね。長野の人はみんな読んでるよ「なんとなくクリスタル」。こないだ実家に帰ったら本棚に「五体不満足」もあったし。ま、読んだけど(笑)。
いい話だなぁ。・・・ケニーっていたよね。
いたね。80sだね。アーベインじゃないけどね。
あ、渋谷でタダ券配っているラッセンは?
あれはどっちかっていうとロハスでしょ? アーベインじゃないよ。
あれは完璧アーベインでしょ。暗号XYZだし、ジャケット袖まくりだし、音楽はTM NETWORKの「GET WILD」だし。あと「キャッツアイ」。主題歌は角松敏生作曲で、歌ってるのが杏里。あの変でアーベイン感を刷り込まれたかも。



(左から)『TURBO SONIC VOL.1』『Badwiser/Digital P-Cherryboy Function Remix-(12inch)』『Electro Dynamyc VOL.2』
話それたから「ハートカクテル」に戻すけど、マンガの枠線の外に紅茶の銘柄とかBGMとか欄外に書いてあるところにこだわりを感じさせるよね?
アールグレイ+ローヤルグレイとかどうでもいいこだわりが(笑)。この銘柄が売れちゃったりするんだろね。それとやっぱり、ネームが手描きなのが斬新だったんだろうね。
最後のコマだけどーーんってデカくなってて筆記体で「A LITTLE HELP」ってかいてあったり(笑)。わたせ先生はこれでどんなことを表現したかったんでしょうね?
いや、俺に聞かれても・・・でかい話になってきたなぁ(笑)。
突っ込みどころが多いよね。
でも俺の読み方としては、半分突っ込んでるんだけど、半分心から感動して読んでたりするんだよね。短編で大きなドラマはないんだけど、日常の小さなエピソードを繰り返し描いているところに憧れるのかも。なんだろう? ・・・夢がありつつ、けっこう落ち着いている感じがいいのかも。
CRYSTALくんは“わたせマインド”を受け継いでいるね。半分も感動できない人がほぼ大半だと思うんだけど。
設定にリアリティとかないからね(笑)。
もはや、わたせせいぞうの正統後継者だよ。そもそも中目黒のこんなおしゃれなカフェ(注:インタビュー収録場所)の常連であるってところからしてアーベインだよ。
いやいや普通でしょ(苦笑)。
もっと十条とかそういうところの場末のスナックの常連になりなさいよ(地獄に落ちるわよ)!
北区・・・。CHERRYBOYとか、もろにそうだけど、“見た目はそうでもないけど作る音にアーベイン感がある”って場合もあるよね。
ま、そうだね。
80Sだけど泥臭くない感じ。そういうのに惹かれる部分は誰しもあるのかも。
そうかもね。Traks Boysのジャケからもアーベイン感(≒わたせマインド)がガンガン出てますなぁ。
うん。素直にあこがれているわけではないんだけど、やっぱり惹かれるものがあるからね。影響は受けているかも。
「ハートカクテル」は新しいアルバムでいうと?
7曲目の「OCEAN DEEP」かな。
確かにアーベイン感あふれる良い曲ですね。ところでこのインタビューの締めはどうします?
すぐに結論は出せないんだけど、「アーベインとは何か?」は引き続き考えていきたいです。全部が全部好きなわけじゃないんだけど。わたせ先生にせよ、田中先生にせよ、リアリティがないし、俺の中には「こういう路線(=アーベイン)でリアリティがあることができるでしょ?」という気持ちがあるから、それを音で表現していきたいですね。

Guest Profile
CRYSTAL
K404(World Invaders)と共にTraks Boysとして活動する人気DJ/トラックメイカー。2002年よりトラック制作開始。コンピレーション「TURBOSONIC VOL.1」、「Electro Dynamyc Vol.2」などへの楽曲提供、Back Drop Bomb、the ARROWSなどのリミックスを手掛ける。また川崎工場地帯の某工場屋上にて行われているパーティー「DK SOUND」のレジデントDJとしてもおなじみ。楽曲のフリーダウンロードもできるOFFICIAL WEB SITEはこちら↓
http://www.traksboys.com/
1stアルバム「Technicolor」発売中!!!」
SWC OFFICIAL WEB SITE
Posted by:
NYAAA
新進気鋭のイラストレーター、NA2ME&世界のジェレミー・スコットもZOKKONラブ(!)なアーティスト、菱沼彩子(東京ビッチ)+りあるごーるど$(ニコヨン/東京ビッチ)によるフィメール・ユニット。エキジビション、パーティなど、愉快なサプライズを皆様にお届け! 2007年、満を持して始動いたします。驚キュンと胸騒ぎ….?












